概要
OpenAIが、ChatGPTを仕事でどう使っているかを世界規模でまとめたデータを公開しました。新しい機能ではなく、研究者向けの資料です。
約100カ国の個人利用を、165の仕事の種類に分けて整理しています。国ごとの違いや、時期による変化を調べられます。
おもに恩恵を受けるのは、AIが経済や仕事にどう関わるかを調べる研究者です。ふだんChatGPTを使う人が、何かをする必要はありません。
何が発表された?
OpenAIは公式ブログで、「OpenAI Signals」のデータを公開したと発表しました。OpenAI Signalsは、AIがどう使われているかの証拠を共有する同社の継続的な取り組みです。今回の公開は、その延長にあたります。
データは約100カ国、165の業務活動を対象にしています。元記事ではこの分類を「Intermediate Work Activities(IWA)」と呼んでいます。職業をまたいで使われる、仕事の種類のまとまりのことです。
期間は2025年第1四半期から2026年第3四半期までで、四半期ごとにまとめられています。位置づけは製品の新機能ではなく、研究用のデータ公開です。
対象範囲は次のとおりです。
- 含まれるもの:個人向けのChatGPTプランでの、仕事に関するメッセージ
- 含まれないもの:企業向け(エンタープライズ)のメッセージ、Codexの利用
前と何が違う?
元記事に旧版との比較は書かれていません。ここでは、今回のデータで新しくできることを3つに分けて説明します。
165の業務分類で、仕事の中身が見える
今回のデータは、ChatGPTの利用を165のIWAに結びつけています。元記事が挙げる例は、教材づくり、マーケティング文章の作成、プログラミング、ビジネスデータの分析です。
仕事に関する利用だと分かるだけでなく、その中でどんな種類の仕事なのかまで見られる、というのが特徴です。
O*NETの枠組みで、ほかのデータと比べやすい
分類にはONETが使われています。ONETは、職業ごとの作業を、職業をまたいで共通する業務活動に束ねた標準的な枠組みです。
共通の枠組みを使うことで、ChatGPTの利用を、職業や雇用に関するほかのデータと比べやすくなります。元記事は、研究者が経済指標と照合できる点も強調しています。
国別・時期別にグラフで探れる
公式ブログには、操作できるグラフが載っています。国を選ぶと、その国の仕事関連メッセージの内訳が見られます。大きな活動グループから、細かい活動へと掘り下げることもできます。
元記事によると、国ごとにChatGPTの仕事での使われ方は大きく違います。時期を動かして、その変化も追えます。
数字で見るとどう変わった?
元記事で示された数値のうち、前後で比べられるのは1つだけです。
74カ国で、上位10の業務が占める割合は、約5ポイント下がりました。
| 比べること |
2025年第1四半期 |
2026年第3四半期 |
変化 |
| 上位10業務が分類済みメッセージに占める割合(74カ国平均) |
56.0% |
51.1% |
4.9ポイント減 |
対象は、すべての四半期で観測できた74カ国です。割合は、各国の「分類できた仕事関連メッセージ」を分母にした平均です。
OpenAIはこの結果を、仕事での使い方が最も一般的な業務に集中しなくなったと説明しています。国は時間とともに専門化し、国ごとに専門化する仕事の種類も違った、という読み方です。
その理由として、元記事は2つの可能性を挙げています。国ごとの仕事の違いを反映している可能性と、AIツールへのアクセスの違いを反映している可能性です。どちらかは断定していません。
もう一つの数字は、アメリカとの比較です。アメリカの職業を対応づけると、雇用で重みづけした作業のうち約43%が「その他のIWA」に入ります。個別に示される分類の外に置かれた、という意味です。
その中身は、荷物を動かす、車を運転する、健康・医療記録を管理するといった活動です。元記事によると、元のアメリカのChatGPTサンプルで、一貫した件数という基準を満たさなかったためです。
この「その他」が大きいため、ChatGPTの使われ方とアメリカの実際の仕事の分布は大きく異なります。
ライバルと比べてどう?
元記事は、他社との比較には触れていません。ここは編集部の整理です。
(編集部注)AI企業が利用の実態を公開する例は他にもありますが、具体的な数値や比較は元記事にないため、ここでは書きません。
今回のデータの特徴は、元記事から確認できる範囲では次の点です。
- 強み:約100カ国、165の業務分類、四半期ごとの時系列がそろっている
- 強み:O*NETという共通の枠組みで、雇用データなどと照合しやすい
- 弱み:個人向けプランのみで、企業向けとCodexは含まれない
- 弱み:アメリカの仕事の約43%が「その他」に入り、個別に比べられない
料金は?
元記事では、データの利用料金への言及はありません。公式ブログで公開されているグラフは、記事の範囲では誰でも見られる形で紹介されています。ただし、データの入手方法や利用条件の詳細は書かれていません。
提供時期は、元記事に「今日公開」とあり、データは2026年第3四半期までを含みます。
日本で使える?
まだ分かりません。元記事には、日本が対象国に含まれるかも、日本語での提供があるかも書かれていません。確認できる範囲で、試す手順を示します。
- 公式ブログにアクセスする(OpenAI公式サイトのニュース記事)
- ページ内のグラフで、国と業務グループを選んで見る
- 記事は英語です。必要ならブラウザの翻訳機能を使う
- 日本が表示されるかは、実際に国の選択肢で確かめる
- 研究に使う場合は、データの利用条件を公式ページで確認する
注意点として、データの対象は個人向けプランの仕事関連メッセージだけです。企業での利用を代表するものではありません。
自分にはどう関係する?
エンジニアなら
プログラミングは、元記事が仕事での利用例として挙げた活動の一つです。ただし、元記事は開発者の働き方にどう役立つかまでは述べていません。
Codexの利用は含まれない点に注意してください。コーディング関連の動きを見るときは、この範囲の限定を頭に置く必要があります。
企画・マーケティングなら
マーケティング向けのコンテンツ作成も、元記事が挙げた利用例です。国ごとに仕事の使われ方が違うことを示すグラフは、市場ごとの違いを考える材料になりえます。
ただし、グラフが示すのは個人向けプランの利用です。顧客の行動そのものではない点に気をつけてください。
経営者・管理者なら
このデータは、ChatGPTの利用と雇用などのデータを並べて研究するためのものです。自社の業務や人材の判断に、そのまま使える資料とは元記事は言っていません。
読むときは、企業向けの利用が含まれないこと、アメリカの仕事の約43%が「その他」に入ることを確認しましょう。
まとめ
今回の公開は、ChatGPTの仕事利用を国別・時期別に調べるための土台です。OpenAIは、データをほかの情報源と結びつけ、働く人や企業への意味を探ってほしいと呼びかけています。
読者が取れる行動は2つです。
- 公式ブログのグラフで、国や業務グループごとの内訳を見てみる
- 研究や分析に使うなら、個人向けプランのみという範囲と、「その他」に入る約43%の扱いを確認する
74カ国で上位10業務の割合が56.0%から51.1%に下がった理由は、元記事でも結論が出ていません。今後の研究で調べられる論点として示されています。