かんたん版:専門用語を使わずに説明しています
ひとことで言うと
NTT東日本とブロードバンドタワーが、1,000キロ以上離れた東京と北海道のデータセンターの間で、大容量のデータをやり取りするストレージをまるで同じ場所にあるかのように一体化することに成功したというニュースです。
何がすごいの?
これまでは、AIの学習や大きな映像データを扱うとき、データの保存場所と使う場所が離れていると通信の遅れや手間が大きな壁になっていました。
今回の実証では、NTTの新しい光通信技術「IOWN APN(アイオン エーピーエヌ:すべてに光の技術を使って圧倒的な低遅延・大容量を実現する次世代通信基盤)」を使うことで、1,000キロ離れていてもスピードがほとんど落ちない環境を作りました。
これにより、離れた場所にあるデータをあたかも目の前にあるかのようにストレスなく使えるようになります。
自分に関係ある?
企業のIT管理者やデータセンターを運営する人にとって、東京に集中しているサーバーやストレージを、再生可能エネルギーが豊富な地方へ分散させるための大きな一歩となります。
また、ランサムウェア(データを人質に身代金を要求する不正プログラム)の監視や防御も、遠隔地から一元的に行えることが確認されました。
使ってみるには
今回の発表は企業の共同実証実験の成功を伝えるものであり、一般のユーザーが直接申し込んで使えるサービスや製品ではありません。
両社は今回の成果をベースに、石狩市などの再生可能エネルギーを活用したデータセンターと首都圏を結ぶ新たなシステムの実装に向けた検討を進めていく予定です。
概要
NTT東日本とブロードバンドタワーは、次世代通信基盤「IOWN APN」を活用しました。東京と北海道の間における1,000km超のデータセンター拠点間でのストレージ統合実証に成功したと発表しました。
遠隔地に分散配置したストレージ環境です。しかしAIの学習や映像処理を想定したデータ利用において、同一拠点内に構成した場合と概ね同等の読み出し性能を確認しています。これによりデータの保存場所を意識せず最寄りの拠点から活用できる環境の実現に向けた大きな一歩となります。
何が発表された?
本発表はブロードバンドタワーとNTT東日本が共同で実施した成果に関するものです。地理的に離れたデータセンター間におけるストレージ統合の共同実証の成果となります。
企業のDX推進や生成AI・機械学習の普及に伴い、データがビジネスを支える重要なプラットフォームとなっています。一方で災害対策や地方創生の観点からデータセンターの地方分散が強く求められています。
今回の実証ではこうした課題に対して次世代通信基盤であるIOWN APNが有効であるかを検証しました。実用化に向けた可能性を示しています。
本実証における各社の役割と環境構成は以下の通りです。
- ブロードバンドタワー:ストレージの提供、性能・機能検証環境の提供および検証の実施、東京都内のデータセンター内実証環境の提供
- NTT東日本:IOWN APN技術提供および実証回線の提供、北海道局舎内の実証環境の提供
- 東京拠点:ブロードバンドタワー 新大手町サイト(東京都大手町)、ストレージ「Dell PowerScale F200」3台構成、ランサムウェア対策「Superna Eyeglass」
- 北海道拠点:NTT東日本 札幌東局、ストレージ「Dell PowerScale F200」3台構成
- 拠点間回線:All-Photonics Connect powered by IOWN(100Gbps回線)
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1,000km超の距離を超える低遅延・低ゆらぎ通信の実現
ストレージシステムは通信の応答時間がばらつくと性能や安定性に影響します。そのため従来は隣接するラックなどの近距離に設置することが前提でした。
今回の実証ではIOWN APNの低遅延かつゆらぎの少ない通信特性を活用しています。東京と北海道という1,000kmを超える距離を超えたネットワーク接続環境下でも、ストレージバックエンドネットワークの構築が可能であることを示しました。
遠隔地からの大容量ファイル読み出しにおける性能維持
東京・大手町と北海道・札幌の間を接続した環境において、大容量ファイルの読み出し速度の低下は約3%にとどまりました。
同一拠点内に構成されたストレージ環境との時間差は1秒未満です。実際のサービス利用においてユーザーが体感する差は極めて小さいという評価が得られています。
遠隔拠点からのランサムウェア対策の一元化
企業のデータを守るためのランサムウェア対策では、通常は監視サーバとストレージを同一拠点に配置することが基本とされます。
本実証では監視サーバを1つの拠点に集約しました。その上で遠隔拠点のストレージ領域に対する疑似攻撃に対しても正常に検知および防御が行えることを確認しています。
数字で見るとどう変わった?
本実証および参考値として測定されたネットワーク性能に関する数値は以下の通りです。
- 東京-北海道間の実証回線(IOWN APN)での遅延(片道):7.14ms
- 東京-北海道間の実証回線(IOWN APN)でのゆらぎ:<16ns
- 東京-北海道間の商用回線(参考値:新大手町サイト〜石狩新港サイト間)での遅延(片道):6.38ms
- 東京-北海道間の商用回線(参考値:新大手町サイト〜石狩新港サイト間)でのゆらぎ:<13ns
- 大容量ファイル読み出し時の速度低下:約3%にとどまる
- 同一拠点構成時と東京-北海道拠点間構成時における読み出しの時間差:1秒未満
ライバルと比べてどう?
(編集部注:本発表は特定の競合製品や他社サービスとの比較を主目的としたものではなく、次世代ネットワーク基盤を活用したインフラストラクチャの技術実証に関するものです。そのため、競合比較に関する情報は元記事では言及されていません。)
料金は?
(編集部注:本発表は技術実証の成功に関するものであり、商用サービスの具体的な料金プランや価格体系についての言及は元記事では言及されていません。)
日本で使える?
日本国内における実証実験です。東京と北海道の拠点間において技術的な検証が完了しています。
今日から一般ユーザーが個人の環境で直接利用できるサービスではありません。しかし今後の社会実装に向けた基盤として準備が進められています。
- 実証の舞台:東京都千代田区(新大手町サイト)と北海道札幌市(札幌東局)
- 利用形態:今後の展開として、ブロードバンドタワーが運用する「石狩新港サイト」(北海道石狩市、再生可能エネルギー100%運用)などの拠点をつなぐストレージシステムの実現に向けた検討が予定されています。
自分にはどう関係する?
エンジニアなら
距離の制約を意識せずに分散したストレージを単一の基盤として扱えます。大容量データの移動に伴う運用工数を大幅に削減できる可能性を評価可能です。
企画・マーケティングなら
首都圏と地方のデータセンターをシームレスに連携させられます。再生可能エネルギーを活用した環境配慮型のAI開発基盤や映像処理基盤の構築を訴求しやすくなります。
経営者・管理者なら
東京一極集中的なインフラ配置の見直しを行えます。災害時の事業継続性の強化や、ランサムウェア対策などのセキュリティ運用の効率化に向けた新しいインフラ戦略を描くことが可能です。
これまでの流れ
- 2023年3月:NTT東日本がAPN IOWN1.0の提供を開始
- 2024年11月 / 12月:最大800Gbpsの「All-Photonics Connect powered by IOWN」の提供を開始
- 2026年9月14日:ブロードバンドタワーが「石狩新港サイト」の運用を開始
- 2026年10月27日:東京〜北海道データセンター間1,000km超のストレージ統合実証の成功を発表
まとめ
今回の共同実証によりIOWN APNを活用したデータセンター間のストレージ統合が可能であることが示されました。距離の制約を超えたストレージ統合となっています。
今後は地方の再生可能エネルギーを利用したデータセンターへのワークロード分散が進みます。一元的なセキュリティ管理の実装に向けた検討が進められていく見通しです。
読者の皆様におかれましては、今後の次世代ネットワークを活用したデータインフラの動向に引き続き注目していくことをお勧めします。