ニッセイ基礎研究所によると、ユーロ圏21か国の10月の消費者物価は、エネルギー価格の上昇に引っ張られて上がっています。編集部の見方では、日本で暮らす人の出費にすぐ響く数字ではありません。
この数字は、欧州委員会統計局(Eurostat)が11月4日に公表した10月の速報値をもとにしています。消費者物価指数(HICP)は、EUの共通基準で家計が買うものの値段を比べた指数です。
10月の総合指数は前年同月比4.0%で、9月の3.8%から上がりました。市場予想(Bloomberg集計の中央値)と同じ数字です。前月比は0.4%で、前月の0.6%から下がりました。
一方で、エネルギーと飲食料を除いたコア指数は前年同月比2.5%で、9月から横ばいでした。ユーロ圏のコアは、日本のコアコアCPIに近い指標です。ただし、アルコールも除くため定義は少し違います。
- 総合指数: 前年同月比4.0%(9月は3.8%)
- コア指数: 前年同月比2.5%(9月は2.5%)
- エネルギー: 前年同月比20.8%(9月は18.9%、8月は14.3%)
- 飲食料(アルコール含む): 前年同月比1.6%(9月は1.3%)
物価の中心はエネルギー、日本の読者が見るべき点
いちばん大きく動いたのはエネルギーです。前年同月比の上昇率は20.8%で、2022年12月以来46か月ぶりに20%を超えました。
物価全体を押し上げた寄与度は、エネルギーが1.87ポイント程度(9月は1.71ポイント)です。サービス(エネルギーを除く)は1.54ポイント程度と見られています。寄与度とは、全体の上昇率のうち、その項目がどれだけ押し上げたかを示す数字です(編集部注)。
サービス(エネルギーを除く)の上昇率は3.3%で、8月の3.0%、9月の3.2%から上がりました。3%台の高い水準が続いています。エネルギーを除く財は1.2%で、9月の1.1%から上がりました。
飲食料では、未加工食品が4.6%(9月は4.0%)と上がりました。加工食品は0.5%(9月は0.4%)です。
ニッセイ基礎研究所は、足元の物価上昇の加速は主にエネルギー価格によるもので、エネルギーの上昇がコアインフレに広がるのは限定的だとしています。
日本とのつながりでいえば、ユーロ圏のエネルギーや原材料の値上がりは、欧州から輸入する品物の値段に回ることがあります(編集部注)。ただ、どこまで影響するかは、この統計だけでは分かりません。
ECBが公表する季節調整済みの系列で、3か月移動平均後の3か月前比(年率)を見ると次のとおりです。
- 総合: 5.2%(9月は3.8%)
- コア: 2.7%(9月も2.7%)
- エネルギーを除く財: 1.9%(9月は2.0%)
- サービス: 3.2%(9月は3.1%)
- 飲食料: 1.7%(9月は0.6%)
総合指数の勢いは前月から加速し、ECBの物価目標である2%を上回りました。
前年同月比では21か国のうち13か国で上昇し、6か国が低下、2か国が横ばいでした。10月は、すべての国で物価上昇率が2%を上回りました。前月比では、16か国がプラスで、ドイツ、ルクセンブルク、マルタの3か国がマイナスでした。
雇用の面では、ユーロ圏の9月の失業率は6.5%で、3か月連続の横ばいです(ユーロ圏の9月失業率は6.5%で横ばい 若年失業者は4カ月ぶりに増加)。物価が高い中でも雇用は大きく崩れていません。
ニッセイ基礎研究所は、データの正確性と完全性は保証しないと注記しています。

