日本商工会議所が、10月のLOBO(早期景気観測)調査の結果を発表しました。LOBO調査は、商工会議所の会員企業に景気の実感を聞く調査です。会員企業の多くは中小・小規模の事業者です。(編集部注)地域の店や工場の実感に近い数字です。
この調査は、今すぐ手続きが必要なものではありません。ただ、取引先や業界の景気の流れを知る目安として役立ちます。
DI(景況判断指数)は、「好転」と答えた割合から「悪化」と答えた割合を引いた値です。プラスなら景気が良いと感じる企業が多く、マイナスなら悪いと感じる企業が多いことを示します。▲はマイナスを表します。▲20.0なら、悪化と答えた企業が好転と答えた企業より多い状態です。
今回の調査は、全国321の商工会議所の会員2382社を対象に、10月15日から21日まで実施されました。このうち1867社から有効回答があり、回答率は78.4%でした。
日本の業況は、業種によって明暗が分かれた
全産業合計の業況DIは▲20.0で、前月より0.7ポイント改善しました。天候が回復し、行楽需要などが広がったことが押し上げました。しかし物価高が足かせとなり、全体としてはほぼ横ばいでした。
業種ごとの数字は次のとおりです。
製造業と卸売業は悪化、建設業とサービス業は改善、小売業はほぼ横ばいでした。
| 業種 | 業況DI | 前月からの変化 |
|---|---|---|
| 製造業 | ▲18.5 | 3.7ポイント悪化 |
| 卸売業 | ▲28.2 | 1.5ポイント悪化 |
| 建設業 | ▲15.3 | 2.1ポイント改善 |
| サービス業 | ▲15.5 | 5.1ポイント改善 |
| 小売業 | ▲27.1 | 0.6ポイント改善 |
悪化が目立ったのは製造業と卸売業です。物価高を背景に節約志向が高まり、一般消費者向けの製品を中心に生産が落ち込みました。卸売業も需要の冷え込みが響きました。
編集部の見立てでは、消費が弱まる影響は、製品を作る段階や商品を届ける段階で先に表れています。店頭の売上より前に、仕入れや生産の動きが変わった形です。
一方で、建設業とサービス業は改善しました。建設業は、一部地域や特定業種の堅調な受注が全体を支えました。サービス業は、行楽需要の拡大で飲食店の客数が増え、旅館の稼働も高まったことが効いています。
小売業は、消費者が値段や中身を比べて選ぶ傾向が強まりました。百貨店や大型スーパーは客足を伸ばした一方、商店街や地元の小売店は伸び悩んでいます。同じ小売りでも、店によって景気の感じ方が大きく違う状況です。
先行きは▲17.7へ改善、慎重な見方は残る
11月から来年1月までの先行き見通しDIは▲17.7で、10月に比べて2.3ポイント改善する見込みです。行楽シーズンが本格化することや、イベント需要が広がる期待が背景にあります。
ただ、長引く物価高で消費者の財布のひもがかたくなることや、金利上昇・円安で仕入れや経費の負担が増えることへの懸念は残っています。
調査では、先行きは緩やかな持ち直しの基調が見込まれるとしています。編集部の見立てでは、今の景気は悪くなってはいないものの、戻りはまだ弱く、冬にかけて物価の動きに左右されやすい段階に見えます。
勤め先や取引先の業種によって、感じる影響は違います。製造業や卸売業の人は受注や生産量の変化を、小売業の人は客足の変化を、今月の数字と見比べると景気の流れをつかみやすくなります。
