動画を作るAIの選択肢が、Microsoftのアプリ開発基盤「Microsoft Foundry」の中で増えました。Microsoftの公式ブログによると、動画生成AIの5モデルが公開プレビュー(正式版の前に試せる段階)として順次提供されます。対象は、文章から動画を作る「テキストから動画」と、画像から動画を作る「画像から動画」の2つです。
動画は、素材によって求められるものが変わります。企画書の文章から案を何本も試す仕事と、承認済みの商品画像を数秒の動きにする仕事では、重視する点が違います。Microsoftは、1つのモデルにすべてを任せず、用途ごとに選べるようにすると説明しています。
動画をアプリに組み込む場合は、モデルの選び方だけでなく、評価や運用の仕組みも必要になります。今回の追加は、動画生成を、ほかのAI機能と同じ場所で管理できるようにする点に意味があります。
速さか仕上がりか、モデルで使い分ける
LTX-2.5 Fastは、速さを優先したモデルです。試作を何本も作る段階に向いています。
LTX-2.5 Proは、仕上がりの品質を優先したモデルです。最終的な素材を作るときに選ぶ想定です。どちらも文章と画像からの動画に対応し、音声を同期して生成できます。
Kling v3 Proは、静止画を動きのあるシーンに変えるのが得意とされています。発表では「映像の見た目と動き」の両方が特徴として挙げられています。
参照をもとにした動画生成を、開発者が細かく制御できると説明されています。音声の生成にも対応します。
MiniMax H3 MaxとH3 Max Turboは、H3に追加学習(ポストトレーニング)を加えた版です。指示文(プロンプト)への忠実さ、見た目、推論(AIが答えを出す処理)の速さを改善したとされています。
5モデルは、画像や動画などの生成AIを扱う「fal」が配信します。falは、アプリから機能を呼び出す仕組みであるAPIを通じて、1,500を超えるモデルを扱っています。fal共同創業者のBurkay Gur氏は、生成メディアを使うAIについて「複数のモデルを使う形になる」と述べています(英語の原文を訳しています)。
料金は1秒あたりで、解像度が上がるほど高くなる
料金は1秒あたりの単価で決まります。Microsoftの公式ブログは本文の中で「1分あたり」と書いていますが、料金表の見出しは「1秒あたり(USD)」です。料金表の数字は次のとおりです。
- MiniMax H3 Max:480p 0.05ドル、768p 0.08ドル、1080p 0.16ドル
- MiniMax H3 Max Turbo:480p 0.025ドル、768p 0.04ドル、1080p 0.08ドル
- LTX-2.5 Fast:720p 0.09ドル、1080p 0.13ドル、1440p 0.19ドル、4K 0.30ドル
- LTX-2.5 Pro:720p 0.12ドル、1080p 0.17ドル
- Kling v3 Pro(米国データゾーン):音声オフ 0.1232ドル、音声オン 0.1848ドル、音声と声の制御つき 0.2156ドル
LTXとMiniMaxはグローバル標準の提供形態で、Kling v3 Proは米国データゾーンの料金です。解像度(画面の細かさ)が上がるほど単価も上がります。編集部の見立てでは、試作は低い解像度で行い、仕上げだけ高い解像度にすると費用を抑えやすくなります。
料金は今後数週間以内にAzureの料金ページに掲載される予定です。
初期のモデル群は米国でホストされます。Microsoftは、Foundryが米国でホストされるKling 3のエンドポイント(アプリがAIを呼び出す接続先)を初めて提供する事業者だとしています。
社内の画像や顧客の情報を扱うなら、データの保存場所が条件になることがあります。Microsoftは、モデルごとに公開されているデータ処理と保存の条件を確認するよう案内しています。
Microsoftは、年次カンファレンスのIgniteでセッション「BRK256: Video AI at Scale with fal on Microsoft Foundry」を開くと案内しています。日時は11月19日(木)11時から11時45分(米国中部時間)です。(編集部注: Igniteは、Microsoftが毎年開く開発者・IT向けの大型カンファレンスです)