概要
NTTドコモビジネスは、AIを活用して企業の顧客対応を自動化・高度化するサービス「docomo business ANCAR」を強化すると発表しました。
AIが電話応対や事務手続きを自律的に行う機能と、蓄積したデータをマーケティングに活用する機能が新たに追加されます。これにより、人手不足に悩む現場の負担を減らし、企業の売上拡大を支援します。
このサービスは、10万社を超える企業が利用するフリーダイヤルなどの音声サービス基盤をベースに構築されています。
何が発表された?
NTTドコモビジネスが提供する「docomo business ANCAR」に対し、2つの新機能が追加されます。本サービスは同社の通信キャリア網とAIを融合させたものです。企業のコンタクトセンターや店舗などの顧客接点を強化する目的があります。
今回発表された機能は以下の通りです。
- docomo business ANCAR Agent:2026年度内に提供開始予定。電話応対から予約・注文などの手続きまでをAIが自律的に実行する。
- docomo business ANCAR Marketing:2026年12月に提供開始予定。通話データや顧客属性を分析し、マーケティング施策の立案を支援する。
これらは研究段階ではなく、実際のビジネス現場での活用を前提とした本格的なサービスとして提供されます。AIによる一次対応や定型業務の自動化により、人がより高度な判断や価値創出に集中できる環境を整えます。
前と何が違う?
電話応対をAIが自律的に完結させる
「docomo business ANCAR Agent」は、既存の電話環境を大きく変えずに導入できる点が強みです。顧客が普段通り電話をかけるだけで、AIが用件を理解します。
問い合わせへの回答だけでなく、外部システムと連携した予約や注文の手続きまでを完結させます。キャリア網上でいつでもつながるAIエージェントが、会話から用件を正確に把握します。
顧客接点のデータをマーケティングに昇華させる
「docomo business ANCAR Marketing」は、コンタクトセンターで得られる音声データと、顧客の属性やWeb上の行動履歴を統合します。これにより、これまで見えなかった顧客の需要を捉えることが可能です。
有望顧客の抽出やアプローチの優先順位付けが可能になります。AIとの対話を通じて、購入につながる要因を深掘りし、マーケティング施策を高度化します。
運用までをAIが自律的に改善する
Agent機能は、一度導入して終わりではありません。蓄積されたデータを基に、AIが自らコールフローの改善やFAQの更新を行います。
状況や業務の変化に合わせて、通信インフラの運用までをAIが自律的に実行する環境を目指しています。複数の拠点やチャネルのデータを統合・分析することで、AIの応対範囲と精度を継続的に向上させます。
数字で見るとどう変わった?
今回の発表において、具体的なベンチマーク数値の提示はありません。ただし、NTTドコモビジネスの自社コンタクトセンターにおける先行導入事例として、以下の成果が示されています。
- AI振り分け機能の導入により、窓口への接続時間を約30%短縮できた。
- 2030年度までの目標として、導入企業の顧客窓口における入電の8割をAIが最初に応対する状態を目指す。
ライバルと比べてどう?
(編集部注:競合他社のAIコンタクトセンターサービスと比較した場合)
一般的に、他社のAIソリューションはクラウド上のアプリケーションとして提供されることが多いです。一方、本サービスはNTTドコモビジネスの通信キャリア網と直接連携している点が大きな特徴です。
通信インフラそのものにAIが組み込まれているため、接続の安定性や導入の容易さで優位性があります。一方で、汎用的なLLM(大規模言語モデル)のカスタマイズ性という点では、他社サービスとの機能的な比較が必要となります。
料金は?
元記事では具体的な価格体系についての言及はありません。法人向けのサービスとして提供されるため、詳細な見積もりやプランについては、NTTドコモビジネスへの問い合わせが必要です。
導入時のコストや運用人材の確保といった課題を解決できる設計を目指しています。
日本で使える?
日本国内の企業向けに提供されます。利用を検討する場合は、NTTドコモビジネスの公式サイトにある「docomo business ANCAR」のページから問い合わせフォームにアクセスし、担当者へ相談してください。
日本語の音声認識や応対に対応したサービスとなっています。本サービスは国内初のSaaS型AIマーケティング機能として提供されます。
自分にはどう関係する?
エンジニアなら
自社の通信インフラやCRM(顧客管理システム)と、AIエージェントをどのように連携させるかの設計が鍵となります。API連携などを通じたシステム構築の需要が高まるでしょう。
AIが自律的に外部システムと連携する仕組みを構築することで、業務効率が大幅に向上します。
企画・マーケティングなら
通話データがマーケティング資産に変わります。顧客の生の声から、どのような層が購入に至るのかといったインサイトを抽出し、施策の精度を上げるチャンスです。
AIとの対話を通じて、顧客層の傾向や購入要因を深掘りし、訴求内容を最適化できます。
経営者・管理者なら
人手不足の中でも顧客接点を維持・拡張できる手段として検討すべきです。自社のコンタクトセンターを「コストセンター」から「収益を生む場」へ転換する戦略が描けます。
顧客応対の効率化だけでなく、新たな商機創出による収益拡大が期待できます。
まとめ
今後は、自社実践である「カスタマーゼロ」の取り組みを通じて得られた知見を基に、さらなる機能拡充が進められる予定です。2030年度にはANCAR関連事業で600億円の収益を目指すとしています。
まずは自社の顧客窓口における課題を整理し、導入による効果をシミュレーションすることから始めてみてください。NTTドコモビジネスは、今後もキャリア網とAIを融合させ、顧客の声を企業の事業成長につなげる支援を続けます。