概要
オラクルの業務ソフトを、ChatGPTから動かせるようになります。承認など、いくつものシステムをまたぐ作業をAIに頼みやすくなる、という発表です。
アプリを作る機能や、システムの弱点を探す機能も加わります。小さな会社には、年間1万2000ドル分のクラウド利用枠つきのセットも用意されます。
オラクルのソフトを使っている会社の担当者と、小さな会社の経営者に関係の深い話です。
何が発表された?
ITmediaの報道によると、オラクルは2026年10月28日、OpenAIとの協業拡大を発表しました。OpenAIのモデルやChatGPT、Codex(コード作成AI)を、Oracleのアプリ、データ、クラウド基盤と連携させます。
狙いは、複数のシステムにまたがる業務の実行、アプリ開発、セキュリティ対策、起業支援です。新製品群として展開されるとのことです。
位置づけは新製品群の発表です。元記事から、一般提供の開始日や提供地域は確認できませんでした。
新製品は次の4つです。
- Oracle AI Workspace(業務システムとAIを一つの画面にまとめる)
- Oracle AI Security Mesh(脆弱性の発見と修正を支援)
- Oracle App Composer(Codexでアプリを作る)
- Oracle AI SMB Bundle(小規模企業向けセット)
前と何が違う?
ChatGPTから業務システムを動かせる
「Oracle AI Workspace」は、AIモデルと業務システムを一つの操作環境にまとめます。ChatGPTのプラグインを通じて、従業員は情報を取り出したり、承認済みの業務手順を実行したりできます。
接続先は、Oracle Fusion Applications、Oracle NetSuite、Oracle AI Database、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)などです。業務目標に応じて必要な機能や情報を選び、作業を助けます。
企業の管理規則、承認手続き、アクセス制御は維持されます。
セキュリティ診断をまるごと任せられる
「Oracle AI Security Mesh」は、マネージドサービス(運営を事業者に任せる形)です。OpenAIのサイバーセキュリティ向けモデルと、オラクルのテストツールなどを組み合わせます。
OCIのほか、他社クラウドやオンプレミス(自社設備)の弱点も対象です。顧客はテストしてよい対象と範囲を指定します。
テスト中のシステム停止や業務中断のリスクを減らす保護策は、オラクルが管理します。顧客はAIを使った防御・攻撃システムを自前で作ったり運用したりする必要がありません。
コードが書けなくてもアプリを作れる
「Oracle App Composer」では、コーディングの専門知識がなくてもCodexでアプリを作成、保守できます。OCIへの導入と運用はオラクルが担います。
承認済みのデータや業務手順に接続し、OCI Kubernetes EngineやOracle Autonomous AI Databaseなどを使えます。IDや権限、ネットワーク、監査などの制御も適用されます。
オラクルの新技術「APEXlang」に対応しています。保守が難しい不透明なコードを生成せず、素早く開発できるとのことです。
小規模企業向けのセットが用意された
「Oracle AI SMB Bundle」は、無償で利用を始められるセットです。クラウドクレジットが年間1万2000ドル分つきます。
中身は次のとおりです。
- ChatGPT Business
- Oracle AI Workspace
- Codex
- Oracle App Composer
- OCI
- NetSuite QuickStart(請求業務やキャッシュフローなど中核業務の基盤)
数字で見るとどう変わった?
前の版と比べられる数値は、ITmediaの記事では示されていません。性能指標も提示がありません。
確認できる数字は、小規模企業向けクラウドクレジットの年間1万2000ドル分だけです。
ライバルと比べてどう?
元記事には競合との比較がないため、表にはしません。
(編集部注)一般に、企業の業務システムと生成AIをつなぐ動きは各社で進んでいます。今回の特徴は、業務アプリの提供元であるオラクルが、ChatGPTやCodexまで一体で組み込む点です。
ただし、他社との優劣を判断できる性能や価格の材料は、元記事にはありません。
料金は?
ITmediaの報道で確認できる料金情報は次のとおりです。
- Oracle AI SMB Bundleは無償で利用を開始できる
- オラクルのクラウドクレジットが年間1万2000ドル分つく
- 利用には規約、条件、制限が適用される
そのほかの製品の価格や、提供開始時期は、元記事では確認できませんでした。
日本で使える?
まだ分かりません。元記事に、日本での提供や日本語対応の記載はありません。
試す前に、次の点を確認してください。
- 自社のOracle契約でAI Workspaceなどが使えるか、オラクルの担当者に聞く
- 提供開始時期と提供地域を、オラクルの公式プレスリリースで確認する
- 小規模企業向けバンドルは、対象となる企業の条件や制限を確認する
- ChatGPTのアカウントや契約形態は、元記事に記載がなく不明
自分にはどう関係する?
エンジニアなら
Codexでアプリを作り、OCI上の運用はオラクルが担う形です。開発よりも、権限、監査、データ接続の設計が仕事の中心になりそうです。
APEXlangへの対応で、読みにくいコードが量産されにくくなる点も、保守担当には関心事でしょう。
企画・マーケティングなら
直接の恩恵は、業務データをChatGPTから確認できることでしょう。ただし、見られる範囲は会社の権限設定に従います。
実際にどこまで使えるかは、元記事からは分かりません。
経営者・管理者なら
小規模企業は、年間1万2000ドル分のクレジットつきセットが用意されています。ただし規約や制限は確認が必要です。
セキュリティ面では、テスト範囲の指定と保護策の分担を、契約前に整理しておくと安心です。
これまでの流れ
- 10月28日:OpenAIとOracleが提携拡大を発表し、業務アプリやデータをChatGPTに統合する方針を示した(ChatGPTのOpenAIがOracleと提携)
- 11月2日:ITmediaが、AI Workspaceなど4分野の新製品群と小規模企業向けバンドルの詳細を報じた(今回のニュース)
まとめ
ChatGPTと業務システムが直接つながり、複数システムをまたぐ作業をAIに頼みやすくなります。編集部の見方では、権限や承認を維持する設計が実務での使いやすさを左右します。
Oracle製品を使っている会社は、提供時期と日本での対応を、オラクルに確認しましょう。小さな会社は、バンドルの条件と制限を読み、使えるか見極めてください。