OpenAIは、開発支援ツール「Codex」における「Sites」機能のアップデートを発表しました。サイト内のデータを自動で最新化するスケジュールタスク機能と、訪問者ごとのアプリコネクタを利用して表示を個別に最適化する「Bring your own plugin」を追加しました。従来必要だった複雑な認証実装や手動更新の手間をなくし、対話形式でパーソナライズされた社内ポータルを構築できます。
何が発表されたのか
OpenAIのDeveloper Experience部門に所属するKatia Gil Guzman(カティア・ジル・ガスマン)氏は、同社の開発プラットフォーム「Codex」における「Sites」機能の主要アップデートを発表しました。今回の更新は、Sites内で管理されるデータを常に最新状態へ保つとともに、アクセスする訪問者ごとに最適化された情報を提示するための2つの新機能を中心としています。
具体的には、バックグラウンドでデータを定期更新する「スケジュールタスク(Scheduled tasks)のネイティブ統合」と、利用者の個人アカウントや連携アプリのデータを安全に読み込む「Bring your own plugin」です。これらは研究段階のものではなく、Codexユーザーに対して提供が開始された実用的な機能拡張です。
発表された機能・アップデートの全容
スケジュールタスクのサイトネイティブ統合と自動更新
これまでSites上の情報を最新状態に維持するには、外部や別の管理画面でスケジュールタスクを個別に作成し、運用する必要がありました。この構成では、どのタスクがどのWebサイトと結びついているかを把握しにくく、管理コストの増大を引き起こしていました。
今回の機能拡張により、Sitesの編集画面から直接スケジュールタスクを紐付けられるようになりました。デモ画面では「Refresh Company News」というタスク設定ウィンドウが提示されています。ユーザーは実行頻度(Repeat)や詳細な実行ルール(Advanced schedule)を画面上で視覚的に設定できます。タスクの実行指示プロンプトには「Reopen the linked Site through Sites, confirm it remains owner-private...」といった具体的なデータ更新手順が記述されています。さらに、サイト作成時にもSites側が自動的にスケジュールタスクの作成を提案する予防的設計(Proactive suggestion)が組み込まれています。
「Bring your own plugin」による訪問者別の表示最適化
2つ目の主要機能である「Bring your own plugin」は、Webサイトの作成者が個別のサードパーティ製認証基盤や統合システムを開発することなく、訪問者固有のデータやコネクタを活用可能にする仕組みです。従来のWebツール開発では、閲覧者に応じたデータ変更(パーソナライズ)を行うために独自のOAuth実装やAPIエンドポイントの用意が不可欠でした。
画面上のデモ「Connect ChatGPT and Mission Control - Engineering」では、ユーザーがアクセス権限を承認するモーダルが表示されています。ここには、既存のChatGPT環境で有効化されているLinear、Slack、Google Drive、Google Calendarなどの連携アプリが列挙されています。「Allow Mission Control - Engineering to use connected apps」のトグルをオンにして権限を許可すると、訪問者自身のコネクタを経由してデータが動的に取得されます。開発者は複雑なバックエンドを組むことなく、ユーザーごとのパーソナライズ画面を実現できます。
チーム共通ダッシュボード「Mission Control」のパーソナライズ実演
動画内では、ソフトウェア開発チーム向けの統合ダッシュボード「Mission Control - Engineering」を構築する実例が示されました。このサイトには「Work board」「Pull requests」「Issues」といったナビゲーションが備わっています。
同じ組織(Organization)内のメンバーが同一URLの「Mission Control」サイトへアクセスした場合でも、表示内容は閲覧者によって変化します。「Pull requests」タブを選択すると、アクセスした開発者自身がコードレビューを求められているPull Requestが正確に抽出されます。また「Issues」タブには、Linearから取得された閲覧者自身の担当チケット(例:「Trace intermittent webhook timeouts」など)が一覧で表示されます。定期的な全体データ更新と、個人のプラグイン連携によるフィルターが組み合わさることで、チーム共通ポータルでありながら個人向けの作業指示書として機能します。
Codexプロンプトを通じた自然言語での構築と有効化
これらの新機能は、コードを手動で記述することなく、Codexに対する自然言語の指示(プロンプト)のみで構築可能です。ユーザーが「チームの作業状況をまとめるSitesを作成したい」とCodexへ依頼すると、必要なUIレイアウトが自動生成されます。その際、データ更新用スケジュールタスクの設定やプラグイン接続の確認メッセージが画面上に提示されます。
Guzman氏が「If you want to try it out, just ask Codex.(試したい場合は、Codexに指示を出してください)」と説明している通り、開発者はCodexの対話画面で「定期的にSlackとLinearから情報を取得し、閲覧者別のタスク一覧を表示するSitesを作成して」と入力するだけで一連の機能を有効化できます。
性能・ベンチマーク
本発表動画において、データ取得速度や処理応答時間(レイテンシ)、モデルのベンチマークスコアに関する数値データは示されていません。動画内で確認された仕様および画面要素の構成を以下の表にまとめます。
| 項目名 |
動画内での提示内容 |
出典 |
| データ更新方式 |
スケジュールタスクによる定時自動実行 |
動画本編(0:06 - 0:22) |
| ユーザー識別方式 |
訪問者個人のChatGPTコネクタ連携(Bring your own plugin) |
動画本編(0:23 - 0:47) |
| 連携可能な外部アプリ例 |
Linear, Slack, Google Drive, Google Calendar |
デモ画面(0:41) |
| 処理レイテンシ数値 |
提示なし |
編集部注 |
| 実行基盤モデル |
GPT-4o / Codex(画面UIにモデル表示あり) |
デモ画面(0:17) |
競合サービスとの比較
OpenAI Sitesの機能強化は、社内ダッシュボードやポータルの構築手法に大きな影響を与えます。従来のポータル構築ツールやAI生成ツールとの比較は以下の通りです。
| サービス名 |
個人認証・データ連携 |
自動データ更新 |
構築アプローチ |
比較検証(優位点と課題) |
| OpenAI Sites (Codex) |
訪問者個人のChatGPTコネクタを利用可能 |
サイトに紐づくスケジュールタスク |
自然言語プロンプト(Codex) |
認証処理の実装が不要で開発工数が極小。ただし高度な独自UIデザインの調整には限界が存在(編集部注) |
| Retool / Appsmith |
個別のOAuth/APIキー設定が必須 |
データベースクエリの定期実行 |
ローコード(ドラッグ&ドロップ) |
柔軟な画面設計と複雑な業務ロジックに対応するが、初期構築コストが高い(編集部注) |
| Anthropic Claude Artifacts |
訪問者個人の外部API直接連携は不可 |
単発生成のみ(定期更新なし) |
自然言語プロンプト |
プロトタイプ生成速度は優れるが、動的な運用や個人データの自動更新には非対応(編集部注) |
| Notion / Coda |
ワークスペース単位のDB連携 |
リアルタイム同期(API連携) |
ブロック配置・ドキュメント型 |
文書管理には最適だが、AIによる完全自動サイト生成とは方向性が異なる(編集部注) |
OpenAI Sitesは、従来のローコードツールが抱えていた認証実装の煩雑さと、一般的なAIコード生成ツールが抱えていた永続性・自動更新の欠如という両方の課題を解消しようとしています。ChatGPTユーザーが既に設定済みのSlackやGoogle Driveの認証情報をそのまま再利用できる点が競合に対する明確な差別化要素です。
料金・提供プラン
動画内では、Sitesの新機能に対する個別価格や課金体系についての言及はありません。
(編集部注)これらの機能は、OpenAIのCodex利用環境(ChatGPT Plus、Team、Enterprise、ならびにDeveloperプラットフォーム)を通じて提供されます。基本的なSitesの利用は該当プランに含まれますが、定期実行されるスケジュールタスクの処理には基盤モデルのトークン消費が伴います。組織で導入する際は、API利用量や契約プランの制限についてOpenAI公式ドキュメントで事前に確認することが推奨されます。
日本から使う方法
日本のユーザーが本機能を活用するための具体的な手順は以下の通りです。
- ChatGPTまたはOpenAI Developerアカウントにログインし、Codexの実行環境を用意します。
- ChatGPTの設定画面内「Connected Apps」から、Slack、Google Drive、Linearなどの外部ツールとのコネクタを連携します。
- Codexの対話画面を開き、「Sitesを作成したい」という趣旨のプロンプトを入力します。
- 生成されたSitesの編集画面において、定期更新用の「Scheduled task」を有効化し、実行スケジュールを設定します。
- 発行された共有用URLをチームメンバーに展開します。アクセスしたメンバーは自身のコネクタ連携を一度承認するだけで、自分用にパーソナライズされた画面を閲覧可能です。
誰にどう効くのか
エンジニア・開発リード
自社向けの開発ダッシュボードや運用ポータルを構築する際、バックエンドコードの記述や認証サーバーの準備が不要になります。Linearのタスク消化状況やGitHubのPull Request確認画面を、対話形式で短時間に立ち上げることができます。システムの維持管理コストも削減されます。
プロダクトマネージャー・企画担当
プロジェクトの進行状況やGoogle Drive内の最新資料、Slack上のやり取りを集約したポータルを自身の手で作成できます。エンジニアへ開発を依頼することなく、メンバー各自の担当業務に応じた情報を提示するダッシュボードを運用できます。
経営層・マネジメント層
組織内の情報共有速度が改善します。従来はSlack、Google Calendar、タスク管理ツールなどに分散していた情報が、各自に最適化されたビューを通じて集約されます。状況把握と意思決定の迅速化に寄与します。
まとめ
OpenAI CodexのSitesアップデートにより、自動更新され閲覧者に合わせて最適化されるWebサイトを、自然言語指示のみで構築できるようになりました。まずはCodexに対して「チーム用のMission Controlサイトを作成して」と指示を出し、実際の動作や連携機能を試すことを推奨します。