何が発表されたのか
エレクトロニック・サービス・イニシアチブ有限会社(以下、ESI)は、2026年10月23日に「PHPセキュリティ延長保守サービス」において、PHP 5.3から8.1までの全バージョンを対象とした緊急リリース(リリースID:esi-8.2.35)を実施したと発表しました。
これは、PHPプロジェクト(上流)が2026年10月21日に緊急リリースしたPHP 8.2.35のセキュリティ修正2件を、保守が終了している古いバージョンすべてに移植したものです。上流の告知ではサポート対象のPHP 8.2以降のみが挙げられていましたが、ESIの調査により、原因となるコードの仕組みが古いバージョンにも存在することが判明したため、迅速な対応が行われました。
製品・サービスの中身
重大な脆弱性「PHP2Shell」への対応
今回修正されたのは、重要度が「critical(クリティカル)」とされる2件の脆弱性です。これらは合わせて「PHP2Shell」と呼ばれており、細工されたリクエストを送りつけられることで、認証なしにWebサーバーのワーカー権限で任意のコードを実行されてしまうおそれがあります。
具体的には、メモリ不足の処理において壊れた状態のメモリがそのまま使われてしまう問題(CVE-2026-109618、GHSA-w8hw-w9fx-j79w)と、前のリクエストの状態が次のリクエスト開始前に引き継がれてしまう問題(CVE-2026-109619、GHSA-6wmf-4rv5-p3rp)の2点です。
大規模なコードの移植と動作の変更
上流での修正は約390ファイル、1万行を超える大規模な変更でした。構造が異なる古いバージョンに対しては、バージョンごとにコードを書き直して移植し、テストとCI(継続的インテグレーション)で丁寧に検証が行われています。
また、この修正に伴い、メモリ上限(memory_limit)を超えた際の動作などが上流と同じように一部変更されます。ESIは普段、機能の追加や変更を行わない方針ですが、今回は脆弱性を残さず直すために上流の仕様に合わせた形です。
今後の対策強化
検証の過程で見つかった関連する問題についても、対策強化パッチが準備されており、今週中に追加でリリースされる予定です。また、PHP本体だけでなく、PECLモジュールについても同様の問題がないか調査が進められています。
スペック・価格の早見表
| 項目 |
内容 |
出典 |
| 対象バージョン |
PHP 5.3〜8.1 の全バージョンおよびOS別版 |
元記事 |
| リリース日 |
2026年10月23日(緊急リリース) |
元記事 |
| 対応OS |
RHEL 6〜10および互換OS、Amazon Linux 1/2/2023、Ubuntu、Debian、その他Linux、BSD系OS |
元記事 |
| サービス開始 |
2008年(提供継続中) |
元記事 |
| 価格・入手方法 |
サブスクリプション加入者向けに提供 |
元記事 |
従来との違い・注意点
公式サポートが終了した古いPHP環境では、基本的にセキュリティ修正が提供されません。そのため、今回の延長保守サービスを利用しない場合、こうした重大な脆弱性に対して無防備になってしまいます。
ただし、修正パッチの適用によって一部の動作(メモリ制限を超えたときの挙動など)が変わるため、既存のアプリケーションが正常に動作するかどうか、あらかじめ検証環境でテストを行っておくことが大切です。
自分に関係ある?
古いPHP環境でウェブサイトやシステムを運用している企業やシステム管理者にとって、非常に直接的な影響があります。すぐにシステムを新しいPHPバージョンへ移行できない事情がある場合、こうした延長保守サービスを通じてパッチを適用することが、安全性を保つための現実的な防衛策となります。
買える・使えるか
まとめ
古いPHP環境を使い続ける事業者にとって、今回の「PHP2Shell」対応は早急に確認すべき重要なアップデートです。契約中の方はリリースノートを確認し、速やかにパッチを適用することをお勧めします。