対象は、スマホや社内サーバーで翻訳を動かしたい開発者や企業です。すでにPLaMo翻訳を使っている人の環境が変わるという発表ではありません。ダウンロードして使う場合、直近事業年度の収入または売上が10億円未満の企業と個人なら、商用・非商用を問わず無償です。
PLaMo 3 Translateは、PFNのAI翻訳サービス「PLaMo翻訳」で使っている翻訳特化の大規模言語モデル(LLM、文章を扱うAI)です。今回、モデルの重み(AIの学習結果にあたるデータ)を公開しました。これをオープンウェイトと呼びます。
PFNの発表によると、重みはPFNのHugging Faceページ(AIモデルの共有サイト)から入手できます。
4つのサイズから選べる
モデルは0.8B(8億パラメーター)、2B、8B、31Bの4種類です。パラメーターはAIの規模を表す数で、大きいほど高品質になりやすい一方、動かす機器への負担も増えます。
求める翻訳品質、応答の速さ、処理量、使う機器に合わせて選びます。小型モデルはネット接続がなくても、スマートフォン、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスで高速に動くとしています。
発表では、最小の0.8Bを機内モードのスマートフォンで動かした画面例も示されました。デモ用の環境で、等倍速での実行です。
対応は日本語・英語を含む53言語です。アプリへ組み込むのはユーザー側で、モデル単体が翻訳アプリになるわけではありません。
画像:Preferred Networks(公式発表)日本語の文末や用語を指定でき、機密文書も社内で完結
自社管理のサーバーや端末でモデルを動かせば、原文と訳文を外部のサーバーに送らずに済みます。外部への送信が制限される契約書、研究開発資料、顧客対応の文書も、自社の情報管理方針に沿って翻訳できるというのがPFNの説明です。
出力は調整できます。原文の前後の文脈を参考情報として渡し、用語集で固有名詞、専門用語、製品名の対訳を指定します。日本語へ訳す場合は、敬体(です・ます調)と常体(だ・である調)も選べます。
小型でも既存モデルを上回るとPFNは説明
PFNの比較評価では、最小モデルでも、GoogleのTranslateGemmaとTencentのHy-MT2を上回るスコアでした。日英翻訳、日本語と多言語間、英語と多言語間の3つで、モデル規模と翻訳品質を比べています。
ただし評価は自社ベンチマークを含むPFNの評価で、第三者の検証ではありません。編集部の見方では、自社の文書で訳質を確かめるのが確実です。PFNも、手元の環境で実際の文書の品質と速さを確かめて導入を検討できるとしています。
このモデルは、PFNと情報通信研究機構(NICT)の共同研究で得た事前学習モデル「PLaMo 3 NICT」を基盤に、PFNが翻訳向けに開発しました。
手元で動かせるオープンウェイトの流れ
サイソクは、オープンウェイトを使う企業が増える流れも伝えています。Databricksは、利用モデルの数が平均4.2から7.1に増えたと説明しました(Databricksの解説記事)。
日本の企業が使える条件と商用ライセンス
利用は「PLaMoコミュニティライセンス」に沿います。社内業務での利用や、自社の製品・サービスへの組み込みも、この範囲なら商用利用にできます。
対象は、直近事業年度の収入または売上が10億円未満の企業と個人です。この範囲を超える商用利用には、PFNとの商用ライセンス契約が必要です。導入の相談や契約の問い合わせは、PFNのお問い合わせフォームで受け付けています。