概要
2026年6月1日、保険契約者の保護などを目的とした改正保険業法が施行されました。これは2016年以来、約10年ぶりとなる大型の法改正です。東京商工リサーチのデータインサイトでは、保険業界に詳しい法律事務所あかつきの岡本大毅代表弁護士へのインタビューを通じて、法改正への具体的な対応や代理店が陥りやすいトラブルへの注意点を伝えています。
何が発表された?
東京商工リサーチの「TSRデータインサイト」において、法律事務所あかつき・岡本大毅弁護士へのインタビュー記事が公開されました。改正保険業法は、旧ビッグモーターによる不正請求や保険会社間のカルテルなどの不祥事、さらにはプルデンシャル生命などの金銭詐取問題といった背景を受けて施行されたものです。今回のインタビューでは、法改正のポイントや、保険代理店が実務上どのような点に気を付けるべきかが詳細に語られています。
中身をくわしく見ると?
改正保険業法の5つのポイントとは
岡本弁護士によると、今回の改正保険業法のポイントは大きく5つに分けられます。具体的には以下となります。
- 特定大規模乗合保険募集人の体制整備義務の強化
- 特定大規模乗合損害保険代理店の兼業業務に関する体制整備
- 保険会社等の委託先管理等の強化
- 保険契約者等への過度な便宜供与の禁止
- 保険仲立人の活用促進
これらの法改正への対応は、保険代理店にとって避けて通れない課題です。
「ハ方式」の廃止と代理店の体制整備
改正に関連する動きとして、顧客の意向ではなく代理店の都合で特定の商品を推奨する、いわゆる「ハ方式」の販売手法が廃止されます。これも実務上の大きな影響を持ちます。この改正は2028年3月1日から施行されます。これにより、複数の保険会社商品を扱う乗合代理店は、顧客の意向を十分に把握することが重要です。さらに、比較可能な同種の商品から推奨販売を行うことが求められます。施行日を待たずにPDCAを回し、体制を整えておくことが望ましいとされています。
契約書の雛形と実態のすり合わせ
保険会社が代理店向けに規程や契約書の雛形を用意することが想定されます。しかし、岡本弁護士は「雛形を形式的に取り入れるだけでは十分でない」と指摘しています。企業の身の丈に合わない規程は形骸化を招きます。そのため、実務や実態に即した雛形の修正が必要不可欠です。業界に精通した専門家への相談が勧められています。
数字で見ると?
| 項目 |
数値・内容 |
出典 |
| 法改正の頻度 |
約10年ぶり(2016年以来) |
東京商工リサーチ |
| 改正保険業法の施行日 |
2026年6月1日 |
東京商工リサーチ |
| ハ方式廃止の施行日 |
2028年3月1日から施行 |
東京商工リサーチ |
| 岡本弁護士の司法試験合格 |
2006年旧司法試験合格 |
東京商工リサーチ |
なぜ今?業界への影響は?
近年の保険業界を巡っては、不祥事や金銭詐取問題などが大きく報じられてきました。こうした背景から、顧客保護や適正な販売体制の構築が急務となっています。また、代理店手数料の「戻入」に関する問題も見逃せません。大口契約では1件で数百万円から数千万円規模の代理店手数料が発生することがあります。早期解約などで戻入が発生した場合、代理店は多額の返還に対応せざるを得ません。所属募集人にすでに支払いを行っている場合の回収リスクもあります。業界特有の事情に合わせた就業規則の整備が求められています。
自分に関係ある?
保険代理店を経営する事業者や、保険商品の販売に関わる募集人にとって、今回の法改正と実務対応は非常に密接に関係しています。代理店手数料の戻入リスクに対する就業規則の不備があります。さらに、委託型募集人の適正化に伴う労務問題なども顕在化しています。そのため、個々の事業者が自社の体制を見直す必要があります。一方、一般の保険契約者にとっては、代理店がより顧客の意向に沿った適正な推奨販売を行う体制へと変わっていく過渡期にあたります。
もう使える?取引できる?
改正保険業法はすでに2026年6月1日から施行されています。関連する「ハ方式」の廃止等も2028年3月1日の施行に向けて準備が進められています。代理店や事業者は、各保険会社が用意する規程や契約書の雛形を確認しなければなりません。その上で、自社の実態に合わせた修正を行う必要があります。詳細は東京商工リサーチの公式Webサイト(TSRデータインサイト)に掲載されているインタビュー記事をご確認ください。
まとめ
改正保険業法の施行やそれに伴うルール変更は、保険代理店にとって体制を見直す大きな契機となります。形式的な対応にとどまらないことが重要です。実態に即した契約書の修正や就業規則の整備を進めることが求められます。まずは東京商工リサーチの公式発表や専門家の見解を確認しましょう。そして、自社の状況に照らし合わせて適切な対策を講じていきましょう。