検索で見つかるのと、判断できるのは別です
値引きの相談を例にすると、ベクトル検索は「割引の方針」と「承認」を並べて見せます。ただ、どちらが今回の取引に当てはまるかは分かりません。そこで、関係をあらかじめ記録しておく「文脈グラフ」が役立つとされています。
自社のデータの関係と権限を整理してから、AIに任せる範囲を決めるとよいでしょう。
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発表内容をもとにした一般的な情報です。導入や契約の判断は、公式情報を確かめたうえでご自身で行ってください。
Atlassianは、AIエージェントが仕事の文脈をつかむための「文脈グラフ(context graph)」の考え方を、公式ブログで2026年11月3日に説明しました。Atlassianのプロダクト責任者Sanja Samirana Panda氏が執筆しています。ポイントは、データへの接続を増やしても、仕事同士の関係が分からなければAIは判断を誤りやすいという点です。

画像:Atlassian(公式発表より)
要約版:専門用語を控えて説明しています
値引きの相談を例にすると、ベクトル検索は「割引の方針」と「承認」を並べて見せます。ただ、どちらが今回の取引に当てはまるかは分かりません。そこで、関係をあらかじめ記録しておく「文脈グラフ」が役立つとされています。
執筆はHead of Product, Teamwork GraphのSanja Samirana Panda氏です。
結論から言うと、AIエージェントに判断させるには、ツールへの接続だけでは不十分だと整理されています。仕事のつながりと権限を記録した地図が必要だという考え方です。
たとえば、顧客から「15%の値引きで契約を更新できないか」と聞かれたとします。契約書は顧客管理システムに、値引きの方針は社内wikiに、承認はチケットにあります。AIが3つのシステムをつないでも、それぞれが「今回の顧客に当てはまるか」は分かりません。
記事では、現在よく使われる2つの技術を挙げています。RAG(検索結果を回答に組み込む仕組み)は、ベクトル検索で「内容が似ている文章」を探します。MCP(Model Context Protocol)は、AIがツールを呼び出すための共通の窓口です。Atlassianは、MCPは「データに届く道」で、ベクトル検索は「その中から似た文章を探す仕組み」だと説明しています。
ただし、似ていることは権限があることと同じではありません。割引の方針と承認が並んで出てきても、どちらがこの顧客、この地域、この契約期間に当てはまるかは分かりません。
文脈グラフは、仕事の関係を記録したものです。「このエスカレーションはこの顧客のもの」「この承認はこの例外に効く」「次の対応はこの人が担当する」といった関係を、あらかじめ結びつけておきます。
一般的なナレッジグラフは「ものが何であるか」を表します。文脈グラフは、誰が何を持ち、何が決まり、今何が適用されるかという「仕事の動き」を表すと説明されています。
AtlassianのTeamwork Graphでは、既存のツールから関係を取り込み、仕事が進むにつれて更新するとしています。そのため、AIはタスクごとに関係を組み直さなくて済みます。ツールを増やすだけでは足りない理由も、ここにあります。
接続を増やすと、答えが変わります
同じ更新の例に、情報源を1つずつ足して説明しています。
最初は方針と契約書だけです。この段階では例外が必要だと分かりますが、誰が例外を認められるかは分かりません。
次に、その顧客に紐づくサポートのエスカレーションを足します。急ぎの度合いと取引上のリスクが変わったと分かります。ただし、急ぎであることは承認の代わりにはなりません。
3つ目は、Slackで話題になった似た事例です。先例のヒントにはなりますが、別の顧客についての最近のメッセージを今回の承認に置き換えてはいけないと記事は述べています。
最後に、記録された承認と顧客の担当者を結びつけます。承認が今回の顧客、地域、期間に当てはまるかを確認でき、次に動く人も分かります。承認が見つからない、または情報源同士が食い違う場合は、勝手に例外を通さず、確認に回すべきだとしています。
記事の要点は、情報源の数ではなく、情報同士の関係が回答を変えるという点です。
権限の範囲と、確認して止まる設計
文脈グラフの目的は、AIに「すべての文脈」を渡すことではありません。利用者とタスクに合った文脈だけを渡すことです。取り出した内容は判断の根拠として扱い、アプリの制御を上書きする指示としては扱わないとされています。
AIの推奨は行動の許可ではないとされています。実際の変更は、その行動を行うアイデンティティの権限に従います。
AtlassianのMCPサーバーでは、Teamwork Graphのツールを通じて、権限付きの関係を取得できると説明されています。ただし、取得や変更できる範囲は、人かエージェント用アカウントかを問わず、行動する主体の権限に従います。
記事は、Teamwork Graphの料金や日本での提供時期には触れていません。
一方で、MCPとCLIを使えば、Atlassian以外のAIモデルやエージェントからも同じ文脈を使える、と記事は説明しています。特定のAIベンダーに縛られにくいという考え方です。
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