ノートPCのカメラ性能を、光学部品からAIまでまとめて設計した、という内容です。
Surface ProやSurface Laptopは、Microsoftが作るWindowsパソコンです。ビデオ会議で映る自分の姿をきれいに保つため、カメラ専用の部品、画像処理チップ、端末内で動くAIを組み合わせています。
端末の中だけで動くAI、数字で見る
Windowsブログ(日本)によると、AI Noise Reduction Gen2とAI Enhancementは、Snapdragon X2シリーズ搭載の一部構成で使えます。どちらも完全に端末上で動き、画像や映像のデータはクラウドに送られません。
2つのモデルの規模は次のとおりです。
- AI Noise Reduction Gen2:586,000個のパラメーター(AIの規模を表す数)、1フレームあたり1,200億回の演算
- AI Enhancement:132,000個のパラメーター、1フレームあたり700億回の演算
- モデルのメモリ使用量:8MB未満(Surfaceカメラチームの説明)
チームは、NPU(AI処理専用のチップ)上で、フルフレームの入出力を毎秒30フレームでフレーム落ちなく処理できることも実証したとしています。NPUの構造はプロセッサーごとに違うため、Surfaceは各モデルを対象のNPUに合わせて最適化しています。
役割分担も明確です。AI Noise Reduction Gen2は、暗い部屋で不要なノイズと本来の細部を見分けます。AI Enhancementは、中程度から明るい場所で、質感や局所コントラスト、鮮明さを高めます。
なお、結果は構成や設定、使うビデオ会議プラットフォームによって異なる場合があると、Microsoftは注記しています。
画像処理は「AIか従来型か」を使い分ける
カメラで撮った映像は、まずISP(センサーの生データを映像に変える処理エンジン)に渡されます。ISPには数十の処理ブロックと数千の調整可能なパラメーターがあり、コントラストや色、シャープネス、ノイズなどを制御します。
これらは個別に調整できません。シャープネスを上げるとノイズが目立ち、ノイズを強く消すと細部が失われます。顔の明るさを直すと背景の見え方も変わります。
そのためSurfaceのエンジニアは、調整を多変数の最適化問題として扱っています。モデリング、ラボでの評価、フィールドテスト、人の見え方を調べる心理視覚分析を組み合わせ、数千時間のテストを実施したとのことです。
ISPは数百の画像処理を担当し、従来の処理が苦手な課題にはAIを充てます。たとえば、遠くにいる小さなハエと、ドット欠けやセンサーノイズを見分ける処理です。画質と電力効率の条件に応じて、処理をISPかAIに振り分けています。
窓を背にした会議や暗い部屋に効く2つの機能
低照度は特に厳しい条件です。センサーが受け取る情報が減る一方で、ノイズは目立ちやすくなります。単純なノイズ低減は、画像をきれいにする代わりに細かな部分を失わせます。
もう1つの課題が色です。大きな単色の背景や特殊な照明は、従来のホワイトバランス(白を白く見せる補正)を混乱させ、色を不安定にします。Surfaceは、AI支援のオートホワイトバランスで、シーンを分析して色の再現性と安定性を高めるとしています。
Microsoftは、このAIが人工的なテクスチャを生成せず、元の映像の信号をもとに処理すると説明しています。
DXOMARKでは第1位と第2位、ただし条件つき
Microsoftが委託したDXOMARKのテストでは、対象構成がノートPCカメラランキングで第1位と第2位でした。テストは2026年4月に実施され、順位は2026年6月16日時点のものです。
対象は次の2構成です。
- Surface Pro 13インチ(Snapdragon X2 Plus 10コア/16GB/256GB)
- Surface Laptop 13.8インチ(Snapdragon X2 Plus 10コア/16GB/256GB)
どちらが第1位かは、発表では示されていません。順位は、テストと同じカメラハードウェア、ファームウェア、設定のデバイスにだけ当てはまり、変更される場合があります。
日本で使える構成に注意
ブログの対象は、最新のSurface Pro 12インチとSurface Laptop 13インチです。テスト対象の構成とは画面サイズが異なる点に注意が要ります。AI機能が使えるのは、Snapdragon X2シリーズ搭載の一部構成に限られます。
Windows 11は日本語版が提供されています(当サイト確認 2026-11-03、出典はMicrosoft公式)。ただし、今回のSurface構成が日本でいつ、どの形で買えるかは、この発表では示されていません。
端末内AIという点では、Microsoftが10月に公開したターミナルアプリでも、AIをオフラインで動かす流れがありました(MicrosoftがIntelligent Terminalを公開)。