豪州の4つの大学が、学生と教職員に最新のAIツールを使わせる取り組みを広げます。対象は、UNSWシドニー、シドニー大学、ラトローブ大学、アデレード大学です。日本の大学は今回の対象に入っていません。
今回の内容はOpenAIの公式ブログで発表されました。中心になるのは、大学向けのChatGPT Edu(大学が契約し、学内の学生や教職員が使う版。編集部注)です。もう一つはCodexです。Codexは、AIに実際にプログラムを書かせて開発を進めるツールです。
OpenAIは、Pureprofileに依頼して豪州の大学生1,018人を調べました。対象は18歳以上で、2026年8月3日から7日に実施されています。主な結果は次のとおりです。
週に数回AIを使う人: 81%
1日に何度も使う人: 33%
学習や仕事を管理するAIエージェントやアシスタントを自分で作った人: 28%
実際のプロジェクトで高度なAIツールを使う機会を増やしてほしい人: 79%
自分の選ぶ仕事でAIのスキルが欠かせないと考える人: 61%
学生はすでにAIを日常的に使っていて、大学に実践の場を求めていることが分かります。76%が起業や独立に関心があり、68%はAIで起業しやすくなると考えています。
編集部の見方では、この調査はAIを提供するOpenAIが依頼したものです。数字は学生の傾向として見るにとどめ、大学の導入計画と合わせて読むのがよいでしょう。
画像:OpenAI(公式発表 ) 4大学はそれぞれ別の形で導入する
UNSWは、ChatGPT Eduを8万人を超える学生と教職員に広げる予定です。一度に全員へ出すのではなく、段階を踏んで提供します。
授業では生成AIの基礎とCodexを組み込みます。ハッカソン(短期間で開発を競うイベント)や産業界のプロジェクトで学ぶ機会も作るとしています。
シドニー大学は、研修とガイドを付けてChatGPT Eduを提供します。全学生への提供は、試験運用のあとの2027年第1学期に予定されています。同大学は、持続可能性の研究を進めるため、100万ドルのAI Sustainability Research and Innovation Fundも設けるとしています。
ラトローブ大学は、取り組みの規模がいちばん大きい大学です。
教職員3,500人がすでにChatGPT Eduを使えます。
2027年第1四半期には、学生と教職員4万5,000人全員に広げる計画です。
豪州で初めての「Bachelor of AI Engineering (Honours)」(AIエンジニアリングの学士(優等))も、2027年に最初の学生を迎えます。
授業での使い方も具体的です。ラトローブ大学の救急医療のプログラムでは、ChatGPTで作った模擬演習を学習システム上で出しています。学生は心電図を読んだり、多数の負傷者が出る事故での振り分けを練習したりします。
教育学部では、ソーシャルロボット「Fletch」を使い、保護者から苦情を言われる場面を教育実習生が練習しています。Fletchは、Microsoft Azure経由で提供されるOpenAIの大規模言語モデル(大量の文章から学んだAIの頭脳)で動いています。
使い方のルールも整えられています。UNSWは「Can, Can't, Must」(使ってよい、使ってはいけない、使うべき)という枠組みを導入しました。教員は、学習の目的に応じて課題ごとにAIの使用を指定できます。
シドニー大学は、本人の力を監督下で見る試験と、AIを使う自由な課題を組み合わせています。ラトローブ大学は、図書館が無料の学習モジュールを全学生に用意しました。
アデレード大学は、統合で新しくできた大学です。研究者や学生、職員がすでにOpenAIのAPI(アプリからAIを呼び出す仕組み)を使っています。
また、OpenAIのDaybreak Blueを使い、許可を得た防御目的のセキュリティ作業を行うとしています。脆弱性(ソフトの弱点)の発見や、マルウェア(悪意あるプログラム)の分析などが含まれます。
画像:OpenAI(公式発表 ) 日本の大学への広がりは発表されていません
ChatGPTの個人向けプランは、日本でも使えます(当サイトの確認:11/3)。一方、大学向けのChatGPT Eduを日本の大学が導入する話は、今回の発表にはありません。日本の学生や教職員が使えるかは、所属先の大学に確かめるのが確実です。