インドのフィットネス企業cult.fitが、社内の仕事のしかたをAIに合わせて変えた事例です。
cult.fitは、インドで708のフィットネスセンターを77都市に展開し、有料会員は約100万人います。ジムの定期契約とトレーナーつきのクラスに加え、器具やウェアなどの商品も扱っています。
OpenAIの公式ブログによると、同社のCTOのSanthosh Kumar氏は「私たちは、社内の運営のしかたをもっとAIネイティブにしたいと考えていました」と話しています(英語の原文を編集部が訳しました)。
社内アプリ20以上、ソフト費用は年10万ドル以上を回避
開発の現場では、複数のAIコーディングツールが混在していました。ツールごとにコードの置き場所や作業の決まりが違い、知識を共有しにくい状態でした。そこでcult.fitは、OpenAIのAIツール「Codex」(ソフト開発を手伝うAI)を開発の共通基盤にしました。
その上で、役割ごとのAIエージェント(自分で作業の手順を進めるAI)を作りました。障害対応のエージェントは、監視ツールとログの情報を集めて原因を調べます。多くの場合は、修正案を含むpull request(コードの変更依頼)まで作り、エンジニアが確認します。
Kumar氏の見積もりでは、cult.fitアプリに追加したソーシャルフィード機能は、以前なら1年以上かかる規模でした。新しい進め方では、2か月で作って公開まで進めています。
変化は開発の外にも広がりました。以前は小さなデータの依頼でも分析チームを通す必要があり、そこが足かせになっていました。今は各チームがCodexで社内データを調べ、定型の分析を自分で行えます。人事は、評価面談、日程調整、フィードバックの集約を一つのワークフローで管理する仕組みを作りました。
社内ダッシュボードのソフト費用が急に上がったとき、1人のエンジニアが週末のうちにCodexで同じ機能を作り直しました。いまは自社のアプリで動かし、年間10万ドル以上のソフト費用を避けたとしています。10万ドルは、1ドル158.25円で約1,580万円です(税別の目安。サイソク編集部の計算)。
数字は次のとおりです。
- 20以上:エンジニア以外のチームが作った社内アプリ(最近の数か月)
- 10万ドル以上:社内ツールを作り直して避けた年間のソフト費用
- 50%以上:顧客サポートのコスト削減
20以上は最近の数か月にエンジニア以外のチームが作ったアプリの数で、50%以上は顧客サポートのコストの削減率です。発表では、50%がどの期間や基準と比べたものかは示されていません。
それを広げるために、cult.fitは全社のハッカソン(短時間で作品をつくる催し)を開きました。経営陣は1日かけて、それぞれの部門の業務に役立つものをCodexで作っています。エンジニアは週2回のオフィスアワー(相談の時間)を設け、アイデアを本番に移すのを手伝っています。
会員向けでは、AIトレーナーを使っています。会員の45%以上が、ジムに通うのが初めての人です。cult.fitは数年前に、人のトレーナーがいなくても個別のガイドを受けられるAIトレーナーを作りました。今はジム利用者の約20%が使っています。
最新版は、声を中心に運動を進める形で設計されています。OpenAIのAPI(アプリに機能を組み込む仕組み)経由で、音声で会話できるGPT Realtimeを使っています。声で掛け声を出したり、運動の記録を声で受けたりする設計です。
顧客サポートでは、欠席したグループレッスンのペナルティ(料金)の免除申請を、AIエージェントが判断しています。以前は、人が1件ずつ確認していました。会員が正当な理由を伝えると、AIがその日の天気やクラスの出席状況を確かめて、免除するかを決めます。この仕組みは、顧客対応ツールのSprinklrに組み込まれ、社内のシステムとつながっています。
日本で使えるのは、ChatGPTとAPIまで
ChatGPTとOpenAIのAPIは、日本で使えます(当サイトの確認:11/3)。API料金は、AIが文字を数える単位であるトークンごとの従量制です(OpenAI公式の料金ページ、11/5確認)。
Codexの日本での料金や提供条件は、まだ発表されていません。GPT Realtimeを使った音声のAIトレーナーも、日本語での提供は示されていません。最新の条件は、公式の料金ページで確かめられます。







