Google、Gemini Live APIに非同期関数呼び出しやコンテキスト注入などの新機能を追加
Googleは開発者向けイベントにおいて、音声によるリアルタイム双方向対話を可能にする「Gemini Live API」の最新アップデートを発表しました。今回の更新では、処理速度を向上させる非同期関数呼び出しや、必要な場面でのみ発話する「プロアクティブ・オーディオ」、リアルタイムに文脈を挿入する「sendClientContent」などが導入されます。これにより、音声アシスタントの応答性能と実用性が大幅に向上します。
AI解析: gemini-3.5-flash
元動画: 🪄 Gemini Live API in action
3秒でわかる要点
1非同期関数呼び出しの導入により、音声対話を遮ることなくバックグラウンド処理を実行可能です。
2プロアクティブ・オーディオ機能により、AIが必要なタイミングでのみ主体的に発話します。
3高度推論モデルとの統合により、音声対話中に複雑なSVG画像をリアルタイムで生成できます。
何が発表されたのか
Googleは開発者向け公式YouTubeチャンネル「Google for Developers」において、音声によるリアルタイム双方向通信を支える「Gemini Live API」のメジャーアップデートを発表しました。解説を務めるのは、同社のデベロッパーアドボケイトであるトール・シェフ(Thor Schaeff)氏です。
今回の発表は、既存のGemini Live APIに対する機能拡張に位置づけられます。具体的には、音声対話の応答性を極限まで高めるための「非同期関数呼び出し(async function calling)」、AI側から適切なタイミングで話しかける「プロアクティブ・オーディオ(Proactive Audio)」、動的に文脈を流し込む「sendClientContent」のサポート、そして音声対話の裏側で高度な論理思考を実行する「フロンティア・レベルのバックグラウンド推論(frontier-level background reasoning)」の4点が公開されました。本機能群は開発者向けのプレビュー、および一部の環境で一般提供(GA)が開始されています。
発表された機能・アップデートの全容
非同期関数呼び出しによる実行速度の向上
従来のAPIでは、関数呼び出し(Function Calling)を実行する際、モデルはその処理が完了して結果が返ってくるまで、次の発話や処理を一時停止する必要がありました。これに対し、今回導入された非同期関数呼び出し(async function calling)は、APIの実行リクエストをバックグラウンドで処理させながら、ユーザーとの音声対話を継続することを可能にします。デモ画面では、ユーザーが「注文番号1234XYZの状況を調べてください」と発話した直後に、システム側が「状況を確認します」と応答し、裏側でデータベースへの問い合わせ処理が走る様子が示されました。この間、ユーザーとAIの会話は途切れることがなく、システム設計の自由度が大幅に向上します。
今回のアップデートにおける最大の技術的ブレイクスルーは、音声対話の裏側で「高度な推論モデル(max high reasoning model)」を稼働させ、ネイティブ音声と推論機能を同時に処理できるようになった点です。デモでは、トール・シェフ氏が「自転車に乗るペリカンのSVGを描画してほしい」と指示しました。最初の標準的なモデルが生成したSVGコードは、解釈の余地があるものの、お世辞にも完成度が高いとは言えない簡易的なイラストでした。そこでシェフ氏は、モデルを「max high reasoning model」へと切り替え、再度同じ指示を出しました。モデルは複雑なSVGのコード生成という重い推論処理をバックグラウンドで進めながら、音声では「描画を待つ間、おしゃべりをしましょうか」と提案し、雑談に応じる器用さを見せました。最終的に出力されたSVG画像は、ヘルメットを着用し、赤い自転車に乗り、首にマフラーを巻いた非常に精緻なペリカンのベクターグラフィックであり、推論性能の劇的な向上が視覚的に証明されました。
本動画内では、アップデートされた各種機能の具体的な利用料金や、トークン単価に関する言及はありませんでした。一般的にGoogle CloudのVertex AIやGoogle AI Studioを通じて提供されるGemini APIの料金体系に準拠するものとみられます(編集部注:最新の料金体系については、Google AI StudioまたはGoogle Cloud Vertex AIの公式価格ページを参照してください)。なお、デモで使用された「max high reasoning model」などの高度な推論機能は、通常のモデルと比較してトークン消費量や価格が異なる可能性があります。
日本から使う方法
日本の開発者が本機能を試すための手順は以下の通りです。現在、開発環境の整備が進められています。
Google AI Studioへのアクセス
日本国内からブラウザで「Google AI Studio」にログインします。Googleアカウントがあれば即座に利用可能です。
Googleが発表したGemini Live APIのアップデートは、単に音声の応答速度を競う段階から、「音声で会話しながら、裏で高度な思考やシステム連携を並行処理する」という実用フェーズへの移行を決定づけるものです。開発者の皆様は、まずGoogle AI Studioにアクセスし、非同期関数呼び出しを用いたプロトタイプの作成から着手することをお勧めします。