概要
ニッセイ基礎研究所がリポートを公開しました。コーヒー豆やオレンジ果汁を使わずに、味わいを再現した「代替食品」が注目を集めています。
地球温暖化による農作物の供給不安や価格高騰が背景にあります。日常の食生活を維持するための選択肢として開発が進んでいます。
さらに、こうした商品の普及が消費者の味覚に与える影響を考察しています。「本物」に対する価値認識の変化も取り上げています。
何が発表された?
ニッセイ基礎研究所は2026年10月28日にリポートを発表しました。「『本物』が贅沢品になる日-コーヒー豆を使わないコーヒーから考える代替食品と消費社会の未来」と題した内容です。
本リポートでは、身近な食品における具体的な事例を取り上げています。コーヒー、オレンジジュース、チョコレートなどの事例です。従来の原材料を使わずに味わいを再現しています。
単なるアレルギー対応などの「食べられない人のための代替品」から変化が起きています。地球規模の環境変化によって「食べられなくなることに備える代替品」へと役割が変わっている点を整理しています。
中身をくわしく見ると?
コーヒー豆を使わないコーヒーの広がり
コーヒー豆を一切使用しない「代替コーヒー」の開発と販売が進んでいます。コーヒーの味わいが再現されています。
米国シアトルのスタートアップ企業Atomo Coffeeが製品を開発しました。ナツメヤシの種子やフェヌグリークなどを原料を用いたエスプレッソ用の製品です。同社は2024年8月に日本市場へ進出しました。
日本国内でも選択肢が広がっています。コカ・コーラシステムが2026年9月に「ジョージア カフェウォーター ブラック」を発売しました。ダイドードリンコも同年10月に「ダイドー グッドラテ2050」を数量限定で発売しました。
原材料を使わないフルーツジュースの登場
カゴメは2026年3月に新ブランドを発売しました。「KAGOME Beyond」の第一弾です。「Beyond オレンジを使っていないオレンジ味の100%ジュース」が発売されました。
黄にんじんやりんご、パインアップルなどを組み合わせています。オレンジ果汁を使わずにオレンジジュースの味わいを表現しています。
さらに同年10月に第二弾が発売されました。「Beyond グレープフルーツを使っていないグレープフルーツ味の100%ジュース」も登場しました。
カカオを使用しないチョコレート風菓子
チョコレートの原料となるカカオについても問題が生じています。供給不安や価格高騰が問題となっています。
イオンは2025年6月に商品を発売しました。ドイツのPlanet A Foodsが開発した代替原料「ChoViva」を使用しています。ヒマワリの種を原料とした「チョコか?」を発売しました。
その後も新商品を展開しています。2026年8月末時点でシリーズの累計販売個数が200万個を突破しています。
数字で見ると?
| 項目 |
数値 |
出典 |
| アラビカ種の栽培適地減少予測(2050年まで) |
50%以上減少 |
学術誌『PLOS ONE』(2022年) |
| コーヒー複合指標価格(2025年2月) |
1ポンド当たり約3.54ドル(前年同月比94.6%上昇) |
国際コーヒー機関(2025年) |
| 日本のオレンジ果汁輸入量(2018年 vs 2022年) |
2018年約7.9万kL ➔ 2022年約4.4万kL |
田口遥(2024年)、東洋経済オンライン |
| オレンジ果汁輸入単価(2020年 vs 2023年) |
2020年261円/L ➔ 2023年482円/L |
財務省貿易統計(RKB毎日放送報道) |
| 「チョコか?」シリーズ累計販売個数(2026年8月末時点) |
200万個突破 |
イオンニュースリリース(2026年10月) |
なぜ今?業界への影響は?
こうした代替食品が相次いで登場しています。その背景には複合的な要因があります。
気候変動による農作物の不作が原因です。世界的な需給の変化や円安なども影響しています。
特に「コーヒー2050年問題」と呼ばれる懸念が指摘されています。将来的にコーヒー豆の安定供給が難しくなる懸念です。
企業にとっては商品を供給する手段となっています。原材料の価格高騰や供給不足に左右されないための手段です。
消費者にとっては選択肢となっています。慣れ親しんだ食生活を無理のない価格で維持するための選択肢です。
自分に関係ある?
すべての生活者に関係する話題です。毎日の朝食や休憩時間でコーヒーやオレンジジュース、チョコレートを当たり前のように楽しんできた生活者です。
価格が高騰しています。これまで気軽に購入できていた食品が徐々に贅沢品へと変化する可能性があります。
調査によればコーヒーが値上がりした場合に変化が生じます。飲む量や頻度を減らすと回答した人が一定数存在しています。家計や嗜好品の楽しみ方に直接的な影響を与え得ます。
もう使える?取引できる?
- カゴメの「KAGOME Beyond」シリーズやイオンの「チョコか?」などの代替食品は、実際の店舗やオンラインショップ等で販売されています。
- ダイドードリンコの「ダイドー グッドラテ2050」は数量限定で発売されています。
- 詳細な情報やリポートの全文は、発信元である「ニッセイ基礎研究所」の公式ウェブサイトで確認できます。
まとめ
代替食品の普及には二つの側面があります。一時的な供給不安を乗り越えるための技術的アプローチであるという側面です。
同時に消費社会の姿を示しています。これまでの日常品が贅沢品になり、「本物」であることに新たな価値が生まれる社会の姿です。
私たちは技術の進歩による利便性を享受しています。同時に、それが必要とされるようになった社会の背景にも目を向けていくことが求められます。