何が発表されたのか
OpenAIのDeveloper Education担当であるDanielle Zaghian(ダニエル・ザギアン)氏は、ChatGPTにおける新機能「Team Tasks(チームタスク)」を動画を通じて公開しました。この機能は、企業や組織内のチームで発生するルーティンワーク(定期的な受付業務、週次更新情報の集計、整理作業など)をChatGPT上で自動化し、複数人で共同管理できるようにする枠組みです。
既存の個人のチャット機能や自動化機能との最大の差異は、タスクが完全にクラウド上で実行される点にあります。ユーザー個人の端末の起動状態やオンライン状態に依存せず、あらかじめ指定したスケジュールやトリガーに従ってバックグラウンドで定期的にタスク処理が行われます。さらに、作成したタスクの実行結果や実行手順(プロンプト)は、チームに所属する全メンバーが閲覧・共有・改訂できる仕組みになっています。単なる個人の自動化スクリプトの拡張ではなく、チーム全体でAIエージェントの運用プロセスを共有・改善するための基盤として位置づけられています。
発表された機能・アップデートの全容
ワークスペース内でのチーム作成と共有リソースの管理機能
デモ映像では、ChatGPTのサイドメニュー下部にある設定アイコンから「Settings」画面を開き、新設された「Teams」項目を選択する手順が示されました。ここで「Create a team」モーダルを起動し、チーム名「Legal Team」を入力、アイコンとしてアタッシュケースの絵文字を設定してチームを作成しています。
チーム作成後は、「Add members」画面から「Kelsey Pedersen」「Victoria Chernova」「Gav Verma」といったワークスペース内の同僚を一度に追加しています。チームを作成することで、個別ユーザーへの権限付与作業を行うことなく、チーム全体に対して特定のページ、カスタムプラグイン、そして共有タスクのアクセス権限をまとめて付与することが可能です。組織内での権限設定やグループ管理の負担を軽減する設計となっています。
クラウド上で完全自律動作するスケジュール実行型タスク設定
チームタスクを作成する際は、サイドバーの「Tasks」メニューを開き、「New task」から「Team」タブを選択します。対象のチーム(デモではLegal Team)を指定した後、タスクのトリガー(Trigger)を設定します。
デモでは「Schedule」を選択し、頻度(Frequency)を「Daily」、実行時刻を「9:00 AM PT」、繰り返し終了(End repeat)を「Never」に設定しています。このタスクはクラウドサーバー上で処理されるため、作成者のノートPCが閉じられていたり電源がオフになっていたりしても、指定された日時に正確に実行されます。ローカル環境に依存しない安定した運用が可能になります。
Gmailや社内ガイドラインとの外部データ連携(Connect Gmail)
タスク構築の過程で、外部サービスとのインテグレーションが紹介されました。デモでは「Connect Gmail」画面が表示され、「Developed by OpenAI」「Approved by your admin」の表記とともに、組織の管理者が承認した共通のメールアカウントを連携させる様子が映し出されています。「This connection will be available to everyone in Legal Team」との警告メッセージがあり、チーム全体で共通のインボックスを安全に利用できることが示されます。
さらに指示文(Instructions)欄では、メンション形式で「@Legal intake guide」という社内ドキュメントを読み込ませています。これにより、ChatGPTは社内の法務受付ルールを参照しながら、受信メールの内容を要約(summarize)、対応担当者(suggest a team owner)を提案し、欠落している必須情報(flag anything missing)を特定します。具体的には「requested deadline(希望納期)」「link to source(送信元へのリンク)」を含めたブリーフィングを作成するよう指示が記述されました。
チームメンバー全員でプロンプトを改訂する指示文の共同編集機能
作成されたタスクは「Daily Legal Intake」と命名されて保存されます。初回の実行結果として「Worked for 1m 34s」と表示され、1分34秒の処理時間をかけて受信された複数のリクエストが表形式で出力されました。表には「Request / original message」「Requested deadline」「Summary」「Suggested owner」「Missing info」の各列が綺麗に整理されています。
デモの後半では、このタスクを見たチームメンバーのKelsey Pedersen氏が、チャットUIを通じて「Can you put the requests due in the next two business days at the top for review?(直近2営業日以内に期限が来るリクエストをレビュー用に一番上に配置できますか?)」と追加の指示を入力しました。画面右下のモデル表記「GPT-4.1 Sol Medium」が数秒間の思考(Working for 2s / Thinking)を行い、次回以降の「Daily Legal Intake」タスクの内部プロンプトを改訂しました。「Updated future briefs to put requests due within the next two business days first, earliest deadline first.」と応答し、今後の定期実行タスク全体の動作定義が自動的に更新される様子が実演されました。
出力結果の透過的トラッキングと不在時の業務継続性
実行結果画面では、検出された課題が即座に可視化されます。例えば「Mutual NDA for upcoming partner discussion」という案件では、相手方の会社名が不足している旨(External country name missing)が「Missing info」欄にフラグ付けされました。また、「Acme services agreement」という案件では、メール本文から「Thursday, October 8, 2026, at 5:00 PM Pacific」という具体的な期限が自動抽出され、提案担当者として「Kelsey Pedersen (Commercial counsel)」が割り振られています。
元のメッセージを開くリンクボタン(M icon)も配置されており、クリック一つで元の受信メールへ移動できます。タスクの定義や結果がクラウド上で一元管理されているため、担当者が不在や休暇中であっても、他のメンバーがChatGPT上の結果画面を開くことで、全く同じ条件で業務を引き継ぐことが可能になります。




