公式発表楽待 RAKUMACHI
金価格は一時調整を経て筋肉質な上昇へ、5000ドル手前の嵐に備える積立投資の要諦
ゴールド(金)価格が史上最高値を記録した後の調整局面を経て、足元で再び上昇基調を強めています。本記事では、不動産投資ポータル「楽待」のYouTubeチャンネルで配信された、貴金属・マクロ経済の第一人者による鼎談動画を徹底取材しました。金利上昇局面にもかかわらず金価格が上昇する背景にある、米国の財政赤字懸念と金融政策の不透明感、そして中国などの中央銀行による現物買いの潮流をプロの記者が解説します。
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元動画: 【ゴールド上昇】5000ドル到達後に暴騰!? 今は「嵐の前の静けさ」/なぜ金利高でも価格上昇するのか/虫の目・魚の目・鳥の目で見よ/中央銀行、財政政策、金融政策の影響《豊島逸夫×池水雄一×大橋ひろこ》
3秒でわかる要点
- 1金価格は最高値5600ドルから4000ドルへの調整を経て、投機筋が淘汰された「筋肉質な相場」へ移行しました
- 2金利上昇下でも金が上がる背景には、米国の連邦債務40兆ドル突破に伴う深刻な「財政不安」が存在します
- 3個人投資家は短期的な乱高下に惑わされず、ドルコスト平均法による定額積立を長期継続することが最善です
この動画で語られていること
本動画では、豊島逸夫事務所代表の豊島逸夫氏、日本貴金属マーケット協会代表理事の池水雄一氏、そして進行役のフリーアナウンサー・大橋ひろこ氏の3名が、足元で再び上昇基調に転じたゴールド(金)相場の深層について多角的な議論を展開しています。2026年1月に史上最高値を付けた後、一時約28%の調整を挟んで底堅さを示すゴールド価格の背景には、従来の「金利上昇=金下落」という定説を覆す構造変化が存在します。動画では、米国が抱える40兆ドル規模の財政赤字問題や、新FRB議長によるフォワードガイダンスの廃止といった政策リスク、さらには中国人民銀行をはじめとする中央銀行による現物買いと「脱ドル」の動きについて、映像資料を交えながら詳細な解説が行われました。
解説された論点の詳細
調整を経て「筋肉質な上昇」へ移行したゴールド相場
ゴールド価格は2026年1月に史上最高値となる1オンスあたり5600ドル付近を記録した後、約半年にわたってダラダラと下落する調整局面を迎えました。池水氏の分析によると、7月中旬には一時4000ドル付近まで下落し、その後約1ヶ月の間に7回も4000ドルを割り込む場面がありました。しかし、いずれの局面でも価格は即座に反発しており、下値に極めて強力な買いオーダーが控えていることが浮き彫りになりました。
豊島氏はこの一連の価格推移を「ダイエットしてスリム化し、筋肉質になった相場」と表現しています。最高値圏で追随していた「Weak long(弱い買い持ち)」と呼ばれる、価格下落時にパニック売りを起こしやすい短期投機筋が、4000ドルまでの下落過程で完全に振り落とされたためです。現在の相場は余分な「脂肪」が削ぎ落とされ、100ドル刻みで強固な節目を形成しながら底堅く上昇する、極めて健全な足取りに変化しています。過去のリーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)における調整局面でも、ゴールドは約27〜28%の下落を記録した後に大相場へ発展しており、今回の調整幅もパーセンテージで見れば過去の健全な調整の範囲内に収まっていると分析されています。
金利上昇局面でも金価格が底堅い理由
従来の金融市場における定説では、金利を生まない資産であるゴールドは、金利が上昇する局面において売られやすく、価格が下落するとされてきました。実際、2026年前半の調整局面においても、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測と長期金利の上昇が、金価格の主な押し下げ要因となっていました。しかし、足元の市場では日米の金利が上昇しているにもかかわらず、ゴールドの価格も同時に上昇するという、異例の相関関係が見られます。
この定説破りの背景にあるのが、市場が抱く「財政政策への強い不安」です。国家の財政赤字に対する懸念が極限まで高まると、法定通貨そのものの価値が毀損するリスク(ディベースメント)が生じるため、金利の有無に関わらず絶対的な安全資産としてのゴールドに資金が流入します。池水氏は、現在の金利上昇を伴う金高騰の局面について、市場参加者が金利のメリットよりも通貨価値の下落リスクを重く見ている証左であると指摘しています。
米国財政不安と金融政策の不透明感という二重のリスク
米国の連邦債務(財政赤字)は40兆ドルを突破し、持続可能性に対する懸念が深刻化しています。こうした中、ベッセント財務長官は長期金利の上昇を抑制する目的で、8月19日に国債の買い戻し(バイバック)増額を発表しました。しかし、豊島氏の解説によれば、この介入政策そのものが「財務省が財政赤字を持て余し、窮地に陥っていること」を市場に暴露する結果となり、かえって財政不安を煽る格好となりました。この政策に対しては、ベッセント氏の師にあたる著名投資家スタンレー・ドラッケンミラー氏が、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙上で痛烈な批判を展開し、市場の動揺をさらに広げています。さらに、長期国債を保有する際のリスクプレミアムを示す「10年ゼロクーポン債のタームプレミアム」は0.8%までじわりと上昇しており、米国債に対する市場の不信任が数字として表れています。
これに拍車をかけるのが、ウォージュFRB新議長による金融政策の不透明化です。同議長は、今後の金利見通しを示す「フォワードガイダンス」(ドットチャートなど)を廃止する方針を表明しました。これにより市場は、政策の先行きを予測する手がかりを失い、豊島氏が「レーダーなき計器飛行」と表現する極めて不安定な状況に置かれています。財政政策の失敗と金融政策の霧中模索という二重のリスクが、ゴールドを唯一無二の逃避先として際立たせています。
中国人民銀行による「ナンピン買い」の実態
ゴールドが4000ドル割れの局面で驚異的な底堅さを示した要因として、中国の中央銀行である中国人民銀行による大規模な現物買いが挙げられます。池水氏が提示したデータによると、中国人民銀行は金価格が下落すればするほど、購入量を段階的に増やすという、極めてシステマティックな「ナンピン買い(ドルコスト平均法)」を実行していました。
具体的な購入量の推移を見ると、金価格が最高値圏にあった2月までは月あたり約1トンの購入に留まっていましたが、価格の下落に伴い、3月に5トン、4月に8トン、5月に10トン、6月に15トン、そして7月には20トンへと、購入ペースを飛躍的に加速させました。中央銀行による現物買いは、短期的な利益確定を目的とする投機筋とは異なり、購入したゴールドを自国の金庫に長期保管するため、市場から現物の供給量が恒久的に減少することを意味します。この中央銀行の旺盛な現物需要が、調整局面における強力な下値支持帯として機能しました。
アジア(シンガポール・香港)へシフトする現物取引ハブ
ゴールドの現物取引を巡る地政学的なパワーバランスも、欧米からアジアへと急速にシフトしています。池水氏は、シンガポールと香港が政府主導でゴールドの現物取引ハブとしての地位を確立しつつある動きに注目しています。シンガポールでは、SBMA(シンガポール貴金属マーケット協会)が政府と緊密に連携し、アジアにおける取引拠点の構築を推進しています。一方の香港政府はさらに積極的で、中国本土との国境に近い大埔(タイポ)地区に、巨大なゴールド保管倉庫とリファイナリー(精錬所)を建設するプロジェクトを主導しています。
このアジアシフトの背景にあるのが、新興国や中東、アジアの国々における「脱ドル」「脱アメリカ」の潮流です。米国がウクライナ侵攻後にロシアに対して行ったドル資産の凍結処分は、世界中の中央銀行に「ドルや米国債を米国国内(ニューヨーク連銀など)に預けておくことの潜在的リスク」を強く意識させました。自国の資産が政治的意図によって差し押さえられるリスクを回避するため、中央銀行はゴールドを物理的に米国から引き揚げ、地政学的に中立、あるいは自国に近いシンガポールや香港といったアジアの安全な保管場所へ移送する動き(ロケーションの変更)を強めています。
動画で示された数字
動画内で提示された、ゴールド相場の動向および米国財政・金融政策に関わる主要な数値を下表に整理します。
| 項目 |
数値 / 比率 |
出典・補足 |
| 最高値からの最大調整幅 |
約28%の下落 |
史上最高値5600ドル付近から4000ドル付近への調整(動画内チャートより) |
| 中国人民銀行の金購入量(3月) |
5トン |
池水氏提示データ(下落初期段階での買い) |
| 中国人民銀行の金購入量(5月) |
10トン |
池水氏提示データ(下落の中間段階) |
| 中国人民銀行の金購入量(7月) |
20トン |
池水氏提示データ(4000ドル付近の最安値圏での最大購入量) |
| 米国の連邦債務残高 |
40兆ドル超 |
豊島氏発言(米国の深刻な財政赤字の規模) |
| 10年ゼロクーポン債タームプレミアム |
0.8% |
豊島氏提示グラフ(国債の買い手が要求する上乗せ金利の上昇) |
| ベッセント財務長官のバイバック発表日 |
2026年8月19日 |
動画内発言(長期金利抑制のための国債買い戻し増額発表) |
| 収録時の札幌の気温 |
23.5度 |
豊島氏発言(東京が30度を超える中、サテライトオフィスのある札幌は快適な気候) |
市場環境と相場観
豊島氏および池水氏の相場観に基づくと、ゴールド相場は年末にかけてさらなる上昇トレンドをたどる可能性が極めて高いと見られます。現在の1オンスあたり4600ドル付近という水準は、短期的な投機資金が抜けた「筋肉質な状態」であり、ここからの上昇は非常に底堅いものとなります。
しかし、価格が4900ドルから5000ドルの大台に近づくにつれ、市場の様相は一変する恐れがあります。価格の上昇を検知したトレンド追随型の短期投機筋(CTAなど)や、乗り遅れを恐れる個人投資家の資金(FOMO)が、再びレバレッジをかけて市場になだれ込んでくることが予想されるためです。豊島氏は、この投機資金の再流入によって5000ドル付近では価格が激しく乱高下(ボラティリティが急上昇)する「大荒れの相場」になると予測しています。現在の底堅く秩序ある上昇は、嵐の前に見られる一時的な静けさに過ぎず、個人投資家は今後のボラティリティ急増に対してあらかじめ身構えておく必要があります。
制度・税制・ローンの前提
ゴールド投資を検討するにあたり、投資家が理解しておくべき基本的な制度と仕組みについて解説します。
ゴールドには、株式や債券のように配当や利子(インカムゲイン)を生み出さないという特性があります。そのため、投資成果はすべて価格変動による差益(キャピタルゲイン)に依存します。ゴールドへの投資手法には、現物購入(地金や金貨)、純金積立、金ETF(上場投資信託)、金鉱株投資などがあります。
税制上の取り扱いにおいて、個人がゴールドの現物を売却して得た利益は、原則として「譲渡所得」に分類されます。譲渡所得には年間50万円の特別控除が適用されるため、売却益が50万円以下であれば課税されません。また、保有期間が5年を超える「長期譲渡所得」に該当する場合、課税対象となる譲渡益が半分に減額されるという税制上の優遇措置があります。一方、金ETFの売却益は「申告分離課税」の対象となり、一律20.315%の税率が適用されます。これらの税制は一般的な規定であり、投資家の所得状況や法人の場合は取り扱いが異なるため、具体的な投資判断に際しては税理士などの専門家へ相談することを推奨します。
見落としてはいけないリスク
短期的なボラティリティ(価格乱高下)リスク
ゴールドは中長期的な上昇トレンドが期待される一方で、短期的には極めて激しい価格変動に晒されるリスクがあります。特に価格が5000ドルの大台に接近した局面では、アルゴリズム取引を用いるCTAなどの超短期投機筋が一斉に参入し、価格を意図的に吊り上げたり、急激に売り崩したりする可能性があります。こうした投機的な動きに巻き込まれると、高値掴みやパニック売りによる大きな損失を被るリスクが高まります。
為替(ドル円)レートの変動リスク
日本の投資家が円建てでゴールドに投資する場合、国際的なドル建て金価格だけでなく、為替相場の変動リスクを直接受けることになります。ドル建ての金価格が上昇していても、為替市場で急激な円高・ドル安が進行した場合、円建ての金価格は相殺されて下落、あるいは横ばいとなるケースがあります。地政学リスクの高まりによって円高と金高が同時に進行する局面などでは、思うような投資成果が得られないリスクに留意が必要です。
金利のさらなる上昇による機会損失リスク
米国のインフレが再燃し、FRBが想定以上の利上げを余儀なくされた場合、世界の主要国債の利回りがさらに上昇する可能性があります。魅力的な高利回りを提供する債券に対して、利息を生まないゴールドを保有し続けることは、機会損失(ポートフォリオ全体の収益率低下)という無形のリスクを伴います。
この話が当てはまる人・当てはまらない人
参考になる人(当てはまる人)
- 中長期的な資産保全を目指す人:インフレや政府の財政赤字によって法定通貨(円やドル)の価値が目減りすることに危機感を持ち、ポートフォリオの一部に実物資産を組み入れたいと考えている人。
- コツコツとした積立投資ができる人:日々の価格乱高下に一喜一憂せず、ドルコスト平均法を用いて毎月定額でゴールドを買い増していく規律を持てる人。
- ポートフォリオの分散を図りたい人:株式や不動産といったリスク資産とは異なる値動きをする安全資産を保有し、資産全体のボラティリティを抑えたい人。
参考にすべきでない人(当てはまらない人)
- 短期的な値幅取り(デイトレード)で急ぎ足の利益を求める人:ゴールドの価格変動のみに依存し、レバレッジをかけて短期的に資産を増やそうと考えている人。ボラティリティの波に呑まれて資金を失うリスクが極めて高いと言えます。
- インカムゲイン(配当・利息・家賃収入)を重視する人:保有しているだけで毎月一定のキャッシュフローを生み出す資産を求めている人。ゴールドは保有コスト(保管料や信託報酬)が発生するのみで、インカムは一切生み出しません。
まとめ
ゴールド相場は投機筋の淘汰を経て、年末に向けて底堅く推移する「筋肉質な上昇局面」にあります。しかし、5000ドルの節目に近づくにつれ、短期資金の流入による激しい乱高下が予想されるため、個人投資家は目先の値動き(虫の目)に惑わされることなく、歴史的な通貨信任の低下(鳥の目)を見据えて、ドルコスト平均法による定額積立を淡々と継続することが推奨されます。
動画のタイムテーブル
- 0:00オープニングと出演者の紹介
- 2:04足元のゴールド価格推移と調整局面の解説
- 4:57投機筋の淘汰による「筋肉質な上昇」の正体
- 9:00金利上昇局面でも金価格が底堅い理由と財政赤字問題
- 15:54ベッセント財務長官の介入政策と市場の不信任
- 21:41中国人民銀行によるナンピン買いとアジアの現物需要
- 27:39年末に向けた相場見通しと5000ドル付近での価格乱高下予測
- 35:02個人投資家が持つべき「3つの目」と積立投資の重要性
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