NVIDIAの公式ブログによると、CPU「Vera」は、AIエージェントに求められる2つの性能を1つのチップで両立させるとされています。1つは一つひとつの作業を速く終える力です。もう1つは、同じ電力でより多くのエージェントを動かす力です。
AIエージェントは、回答を作るだけでなく、情報を検索したり、データベースに問い合わせたり、コードを書いて試したりします。その途中で、GPU(画像や大量の計算を担うチップ)とCPU(コンピューターの処理を担う中心のチップ)を行き来します。つまり、エージェントの速さはCPUの速さに左右されます。
データセンターには、電力の上限があります。AIを大量に動かす施設(AIファクトリー)も、電力には限りがあります。NVIDIAは、1ワットあたりにどれだけ仕事ができるかで選ぶべきだと述べています。
1ワットあたり1.6倍、x86の最速CPUと比べて
NVIDIAは、100メガワット規模のデータセンターを想定した比較で、Vera 1台の優位を説明しました。相手は、最速のx86(多くのサーバーで使われてきたCPUの仕組み)と、電力効率の高いx86 CPUです。結果は次の2点です。
- 最速のx86 CPUと比べて、1ワットあたりのエージェント数が1.6倍
- 電力効率の高いx86 CPUと比べて、エージェントの処理速度が2倍
NVIDIAの製品ページは、x86の処理より80%速くエージェント向けの作業を終えられるとしています(NVIDIA公式ブログ「NVIDIA Vera CPU」、11/6確認)。数字は比べる相手によって変わります。そのため、どの比較の数字かを押さえておく必要があります。
速いCPUと、一台に多くを詰め込めるCPUを組み合わせる構成では、性能の違う2種類のx86を使い分けることになります。資料は、Veraならその使い分けが1種類で済むと説明しています。
導入を試した企業の結果(NVIDIAが紹介)
先行して試した企業の結果も、NVIDIAは紹介しています。いずれも各社の作業に近い条件での数字です。
- Perplexity(AI検索の企業):エージェント型のコーディング作業が、従来のCPUより1.5倍速い。今後の本番システムに導入する計画
- DeepInfra(AIの推論基盤を提供する企業):本番のエージェント調整処理で、最速のx86の最大2.2倍。試した4種類の中で最速
- Daytona:1,000個のエージェント用サンドボックス(隔離された実行環境)の起動が、x86の88.4秒に対しVeraでは10.8秒。Veraで2,000の同時サンドボックスの場合、毎秒12.7件の作業を完了
- DuckLabs:データベースの性能試験TPC-H(SF1000)の中央値で、Intel Xeon 6の基準構成の約1.5倍
- Modal:同等のx86機器と比べ、コアあたりのサンドボックス処理量が最大2倍。高負荷ほど差が広がる
- ClickHouse:特別な調整をしない標準版で176コアにほぼ比例して速くなり、データ分析の性能テストClickBench(ベンチマーク)のハードウェア部門で首位
編集部の見立てでは、ベンチマークの数字は比べる相手と測定条件がそろって初めて意味を持ちます。上の数字はNVIDIAが紹介した各社の結果です。作業内容はそれぞれ異なります。
サイソクは10月23日、NVIDIAのGTC Berlinでの発表を報じています(NVIDIA、GTC Berlinで「Vera Rubin」とAI工場「DSX POD」を発表)。
日本での提供と料金は、まだ発表されていません
Veraの日本での提供時期と価格は、今回の発表では示されていません。日本の事業者が導入を考えるなら、NVIDIAの公式情報で提供状況の更新を確認するとよいでしょう。編集部の見立てでは、一般の利用者が直接使う機会は今のところ小さいです。







