対象になるのは、公開買付けに応募する意向をトヨタに伝えた株主です。具体的にはMS&ADグループ、東京海上日動、損保ジャパンです。一般の株主に、自動で何かが起きる手続きは資料にありません。自己株式の取得とは、会社が自分の発行した株を買い戻すことです。
トヨタ自動車の適時開示(11月5日)によると、同社は同日の取締役会で、自己株式の取得枠の拡大と公開買付けの実施を決めました。8月4日に決めた取得枠を、あとから広げた形です。
取得枠は5億株から6億1,000万株に
変更前と変更後は次のとおりです。取得期間は、どちらも2026年8月5日〜2027年8月4日です。
- 株数の上限:5億株から6億1,000万株
- 金額の上限:1兆円から1.3兆円
- 取得方法:市場買付から、市場買付と自己株式の公開買付けへ
6億1,000万株は、2026年9月30日時点の発行済み株式(自己株式を除く)の5.18%にあたります。変更前の5億株は、2026年6月30日時点の株数に対して4.22%でした。基準日が違うので、割合の比較は目安にとどまります。
トヨタは変更の理由を、公開買付けを行うために取得できる株数、金額、方法を変えるためと説明しています。目的は資本効率の向上です。
1株2,725円、市場価格より10%低い設定
公開買付けの価格は1株2,725円です。取締役会の前営業日である11月4日の終値は3,028円で、過去1カ月の終値の単純平均は3,030円でした。トヨタはより低い3,028円に10%のディスカウントをかけて、2,725円としています。
買付予定数は108,750,741株で、所有割合は0.92%です。応募が予定数を超えた場合は、あん分比例(応募した株数に応じて割り振る方式)で買い付けます。このため上限は、1単元(100株)を足した108,750,841株です。
資金は約2,963億円(2,963億5,900万円)で、全額を自己資金で賄います。2026年9月30日時点の手元流動性(現金や現金同等物)は約9兆4,845億円で、手元流動性比率は2.1カ月です。買付け後は約9兆1,881億円、2.0カ月になる見込みだとしています。トヨタは財務の健全性は維持できると見ています。
応募予定の株主と、残る株式の扱い
応募の意向を示したのは、MS&ADグループの三井住友海上とあいおいニッセイ同和、東京海上日動、損保ジャパンです。応募する株数は次のとおりです。
- 三井住友海上:153,128,935株(所有割合1.30%)
- あいおいニッセイ同和:8,342,020株(0.07%)
- 東京海上日動:96,569,900株(0.82%)
- 損保ジャパン:16,174,200株(0.14%)
買付予定数を超える応募があればあん分になります。このため、応募する意向を示した株数のすべてが買い取られるとは限りません。買付けのあとに手元に残る株式の扱いについて、各社はまだ方針を決めておらず、選択肢を検討するとトヨタに説明しています。
トヨタは、政策保有株主(取引関係の維持などを目的に株を持つ株主)が保有する株の一部を自己株式として取得するため、公開買付けを行うと説明しています。株主への還元と資本効率の向上につながる、というのがトヨタの説明です。
取得した株は四半期末に消却予定
公開買付けで取得した株は、8月4日と11月5日の決議による自己株式の取得が完了した日を含む四半期の末日に消却する予定です。消却とは、持っている自己株式を消すことで、発行済み株式の数が減ります。消却に関する変更も、同じ取締役会で決議されています。
トヨタは過去にも、市場買付けや公開買付けで自己株式を取得してきました。2026年3月31日から4月27日の公開買付けでは、1,192,330,962株を取得しています。







