防水工事は、建物に水が入り込まないように屋根やベランダなどを覆う工事です(編集部注)。住宅の雨漏り対策から大型ビルの施工まで、建設の現場で欠かせない仕事です。その防水工事を担う会社の倒産が、今年は増えています。
東京商工リサーチの調べによると、2026年1〜9月に倒産した防水工事業者は46件でした。これは2008年同期(48件)に次ぐ、18年ぶりの高水準です。1〜9月の46件を12か月分に延ばすと、年間で約61.3件になります(サイソク編集部の計算)。その場合、2008年(56件)を抜いて、20年間で最も多くなる可能性があります。
原因は売上不振が32件(構成比69.5%)で、7割を占めています。赤字が積み重なった「赤字累積」も7件(15.2%)あり、業績の不振がほとんどです。規模では、資本金1,000万円未満と個人企業などが39件(84.7%)でした。従業員10人未満は45件(97.8%)と、小さな会社が中心です。
日本の建設現場で何が起きているか
建設業は、大手ゼネコンが元請けとなり、その下に専門の業者が入る典型的なピラミッド構造です。東京商工リサーチは、この下請けの構造に組み込まれると、小さな会社が採算を確保するのは簡単ではないと指摘しています。
2026年5月には、都内の防水工事業者が破産開始決定を受けました。この会社の本社入口にあったヘルメットには現場名のシールが貼られており、調べると大規模な再開発の高層ビル工事に行き着いたといいます。元請けは大手ゼネコンでした。
ハウスメーカーの倒産も増えています。木造建築工事業(ハウスメーカー)の倒産は、2025年が122件でした。2026年は7月までで前年を抜き、1〜9月は168件に達しています。この168件のペースが続くと、1年で約224件になります(サイソク編集部の計算)。
防水工事は戸建て住宅にも欠かせません。東京商工リサーチは、住宅着工の落ち込みと防水工事業者の倒産増が影響している可能性もあるとみています。
駅や地下街の漏水では、ビニールやバケツで応急的に対処される場面が増えたといいます。足もとでは集中豪雨の被害も相次いでいます。台風の後などの緊急時に、すぐに対応できる業者を手配できない恐れがあり、一部の地域ではすでに表れています。
防水工事業者の倒産が続けば、日常生活に支障が出る場面が増えるかもしれません。東京商工リサーチは、その前に防水工事の適正な単価への理解を深めることも重要だとしています。