YouTubeチャンネル「両学長 リベラルアーツ大学」の切り抜き動画にて、がん保険や終身医療保険、外貨建て貯蓄型保険が不要とされる理由が解説されました。保険の本来の目的は「発生確率は低いが起きたら生活が破綻するリスク」に備えることであり、貯蓄を守るための保険加入や損得勘定での契約は本末転倒であると指摘しています。
この動画で語られていること
本動画では、登録者数多数を誇る「両学長 リベラルアーツ大学」の動画内容から、不要な民間保険の典型例とその論理的な理由について整理されています。解説者を務める両学長は、IT手腕と資産運用実績を持つ経営者であり、個人の財務改善に向けたアドバイスを発信しています。
動画内で両氏は、加入者が陥りがちな「貯蓄を守るための保険」や「損得勘定での医療保険加入」といった誤解を鋭く追及しています。日本の強固な公的医療保険制度を踏まえたうえで、大半の民間医療保険や貯蓄型保険が家計の不要な負担になっている現状をわかりやすく論じています。
解説された内容の詳細
保険の本来の目的と「貯蓄を守るため」という論理の矛盾
保険という金融商品の本来の目的は「発生する確率は低いものの、ひとたび発生すれば生活が破綻するレベルの大損失」に備えることです。動画内では、四象限のマトリックスを用いて説明されています。
発生確率が高く損失が小さい事象や、発生確率が低く損失も小さい事象については、保険ではなく日頃の貯蓄で備えるのが鉄則です。しかし、視聴者からのコメントとして「がん治療で貯蓄を切り崩さないために、がん保険に入るべきだ」という意見が紹介されました。
両氏はこれに対し、明確な矛盾を指摘しています。貯蓄を守るために毎月保険料を支払い続ける行為自体が、すでに貯蓄を削っていることと同義だからです。万が一の病気による出費には、事前に準備した「生活防衛資金」で対応すべきであり、貯蓄を守る目的で保険に入るのは本来の主旨から逸脱していると解説しています。
損得勘定で保険に入る誤解と保険料の性質
「出産前だけ医療保険に入れば給付金で得ができる」といったような、損得勘定で保険を選ぼうとするアプローチについても厳しい見解が示されました。
保険料とは、万が一の事態に対するリスクヘッジとして支払う「掛け捨てのコスト」です。したがって、結果として保険金を受け取れずに損をすることが制度上の正常な状態です。一時的に給付金を受け取って利益が出たように見えても、その後も保険料を支払い続ければ最終的な生涯収支では損をする確率が極めて高くなります。
パチンコなどのギャンブルと同様に、一部の受給成功例だけに囚われて保険を損得で評価することは、保険会社の手数料ビジネスに流される原因になると両氏は警鐘を鳴らしています。
終身医療保険が不要とされる構造的理由
終身医療保険が必要ない理由として、両氏は「構造上の不成立」と「高い手数料」の2点を挙げています。
人間は加齢とともに病気にかかる確率が必然的に高まります。つまり終身医療保険は「加入者の大半が将来的に保険金を受け取るイベント」を対象にしています。全員が当たるギャンブルにおいて、運営元である保険会社が利益を出しつつ加入者全員に得をさせることは物理的に不可能です。
したがって、終身医療保険の保険料には保険会社の莫大な人件費や店舗運営コスト、高い手数料が上乗せされており、加入者にとっては極めて筋の悪い金融商品となります。高齢期の医療費に関しても、公的制度と蓄えで対応するのが合理的です。
貯蓄型保険・ドル建て保険の実体と手数料構造
ドル建て保険をはじめとする「貯蓄型保険」について、動画内では「ぼったくり投資信託」と「薄い保障の掛け捨て保険」を組み合わせたコスト高なセット商品であると説明されています。
「将来の蓄えと万が一の保障が同時に手に入る」という営業トークで販売されることが多いものの、実際には内部で高い手数料が引かれているため、運用効率が著しく低下します。
資産運用を行いたいのであればNISAなどを通じた投資信託の購入、保障が必要であれば単体の掛け捨て保険の契約と、保険と投資を明確に切り離して別々に契約することが重要です。
外貨建て保険のセールストークと税制優遇の罠
保険の営業現場でよく用いられる外貨建て保険のメリットに対しても、詳細な反論がなされています。
例えば「高金利の米ドルで固定運用できる」という点について、両氏は「数年間資金がロックされるため、その間にインフレが進めば実質的にインフレ負けする」と指摘しています。また「長期間保有すればドルベースで元本割れしない」という主張に対しても、裏を返せば「短期間で解約した際の大幅な元本割れリスクを顧客に押し付けているだけ」と分析しています。長期間の運用であれば、株式投資信託などでも元本割れリスクは大幅に低減します。
さらに「一時所得扱いによる節税」や「生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)」についても注意が必要です。相続税には非常に大きな基礎控除枠があらかじめ設定されているため、そもそも相続税の課税対象にならない家庭が多く存在します。500万円の非課税枠があるからといって、税金が直接500万円安くなるわけではないため、営業トークの誤解に注意しなければなりません。
動画で示された数字
動画内で示された主な制度上の数字および試算の基準は以下の通りです。
| 項目名 |
数値 / 条件 |
出典 |
備考 |
| 高額療養費制度の自己負担上限額 |
原則 月額約10万円程度 |
動画内提示 |
年収区分により変動あり |
| 傷病手当金の支給期間 |
最長 1年6ヵ月 |
動画内提示 |
会社員・公務員が対象 |
| 生命保険金の相続税非課税枠 |
500万円 × 法定相続人の数 |
動画内提示 |
相続発生時のみ適用 |
| 相続税の基礎控除額 |
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数) |
動画内提示 |
平成27年改正以降の税制に基づく |
| 必要な民間保険の種類 |
3種類のみ(生命・自動車・火災) |
動画内提示 |
条件付きで必要最低限に絞る |
前提となる制度・仕組み
今回の解説のベースとなっているのは、日本が誇る「国民皆保険制度」の手厚さです。日本の公的医療保険では、病院での窓口負担が原則3割(年齢や所得により1〜2割)に抑えられています。
さらに、1ヵ月の医療費自己負担額に上限を設ける「高額療養費制度」が存在します。一般的な所得層であれば、どれだけ高額な先進医療や手術を受けても、月々の自己負担額は概ね8〜10万円程度で収まる仕組みになっています。(編集部注:差額ベッド代や食事代などは高額療養費の対象外となります)
また、会社員や公務員であれば、病気やケガで長期間働けなくなった場合に過半の給与水準が補償される「傷病手当金」を最長1年6ヵ月間にわたって受け取ることができます。このように公的保障が極めて充実しているため、民間の医療保険で重ねて備える必要性は極めて低いと言えます。なお、これらの社会保障制度や税制は将来改正される可能性がある点には留意が必要です。
他の選択肢との比較
資金準備およびリスク管理の手法について、動画内で推奨されているアプローチと一般的な保険商品を比較します。
| 比較軸 |
貯蓄型保険・外貨建て保険 |
NISA+掛け捨て保険(推奨) |
出典 |
| コスト(手数料) |
非常に高い(非開示の手数料多数) |
極めて低い(低コストインデックスファンド) |
動画内および編集部補足 |
| 資金の流動性 |
低い(途中解約で大幅な元本割れ) |
高い(いつでも解約・引き出し可能) |
動画内提示 |
| 運用効率 |
悪い(保障部分にコストが割かれる) |
良い(全額が運用に回る) |
動画内提示 |
| 税制上のメリット |
制限あり(一時所得控除等) |
完全非課税(運用益・配当金) |
動画内提示 |
| 保障の柔軟性 |
見直しが困難 |
ライフステージに応じて変更自由 |
編集部注 |
見落としてはいけないリスク
民間保険を解約する際や、資産運用に切り替える際に考慮すべきリスクについて整理します。
動画内で言及されたリスク
- 中途解約による元本割れリスク:外貨建て保険や積立型保険を早期に解約すると、解約控除などのペナルティにより支払った保険料を大幅に下回る返戻金しか受け取れません。
- インフレリスク:固定金利型の外貨建て保険は、契約期間中に物価が大きく上昇した場合、実質的な価値が目減りします。
- 為替リスク:ドル建て保険の場合、受け取り時の為替相場が円高に振れていると、円換算での資産が減少します。
編集部が補足するリスク
- 健康状態による再加入の困難さ:既存の保険を解約した後に持病が悪化した場合、将来的に必要な掛け捨て生命保険への再加入が難しくなるリスクがあります。
- 投資に伴う短期的な価格変動:NISA等で投資信託を購入して資金を育てる場合、株式市場の暴落により短期的には元本割れが発生するリスクが存在します。
この話が当てはまる人・当てはまらない人
両氏が提案する保険見直しの方針が適している人と、そうでない人の条件は以下の通りです。
当てはまる人
- 会社員や公務員で、傷病手当金や高額療養費制度などの公的保障がしっかりしている人
- 生活防衛資金として、数ヵ月〜1年分の生活費をすでに貯蓄できている人
- 毎月の固定費を削減し、NISAなどを活用して効率よく資産形成を進めたい人
当てはまる可能性が低い人
- 公的保障が薄い自営業者やフリーランスで、就労不能時の資金準備が全くできていない人
- 貯蓄が全くなく、数万円の突発的な医療費支払いですら生活が破綻してしまう状況の人
- 意志が弱く、保険という強制力を持った仕組みでないと資金を積み立てられない人
まとめ
動画の結論として、人生において基本的に契約すべき民間保険は「小さな子供がいる場合の掛け捨て生命保険」「対人対物無制限の自動車保険」「火災保険」の3つのみとされています。
まずは自身が加入している公的保険の保障内容を確認し、毎月の固定費となっている不要な医療保険や貯蓄型保険の解約・見直しを検討することが推奨されます。個別の事情に応じた正確な資産設計については、FPなどの専門家に相談するか、自身のリスク許容度を正しく把握したうえで判断することが求められます。
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