公式発表Hugging Face
常時稼働AIを自作する、PiとTelegramによるオープンソース「dots」構築の全貌
OpenAIが発表した常時稼働型エージェント「dots」と同等の仕組みを、オープンソースツールと自社サーバーで実現する手法が公開されました。開発者のAlejandro氏が、エージェントフレームワーク「Pi」と中継ツール「pi-gateway」を組み合わせ、Telegramから操作可能な自作エージェントを構築するデモを実演しました。本記事では、このシステムの構造や導入手順を詳しく解説します。
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元動画: Build Your Own Open-Source Dots with Pi and Telegram
3秒でわかる要点
- 1OpenAIの常時稼働型エージェント「dots」と同等の仕組みを、オープンソースモデルを用いてVPS上に構築可能です
- 2「pi-gateway」がTelegramからのメッセージを受信し、SQLiteを介して適切なPiセッションへルーティングします
- 3Google Workspace CLIと連携し、エージェントがGmailの要約やカレンダー登録、Driveへのアップロードを実行します
何が発表されたのか
OpenAIが発表した「dots」は、バックグラウンドで常時稼働し、ユーザーに代わってタスクを実行する自律型AIエージェントです。これに対し、開発者のAlejandro氏が、完全にオープンソースのスタックを用いて同様の常時稼働型エージェントシステムを自作する手法をYouTube動画で公開しました。このシステムは、エージェント実行フレームワークである「Pi」と、外部のメッセージングプラットフォームからの入力を仲介する「pi-gateway」を中核として構成されています。ユーザーは、自身の仮想専用サーバー(VPS)や自宅のデスクトップPC、あるいはNVIDIA DGX Sparkなどの常時稼働マシンに環境を構築できます。本発表は、特定の商用クラウドサービスに依存することなく、プライバシーを確保したプライベートなエージェント環境を個人で構築・運用できる段階に達したことを示しています。
発表された機能・アップデートの全容
常時稼働型エージェントのディレクトリ構造と設定管理
デモでは、エージェントごとに独立したディレクトリが作成され、それぞれが固有の役割と権限を持つ構造が示されました。具体的には、「agents/pa-assistant」や「agents/researcher」といったディレクトリが用意されています。各ディレクトリ内には「AGENTS.md」というマークダウンファイルが配置されており、ここにエージェントのシステムプロンプトや動作ワークフロー、安全基準などが記述されます。例えばパーソナルアシスタントの設定ファイルには、「Google Workspaceを通じてユーザーの業務を整理する。カレンダーを重複して登録しない」といった具体的な行動指針が自然言語で定義されています。このファイルがエージェントのコンテキストとして直接読み込まれるため、プログラミングを行うことなく、テキストの編集だけでエージェントの振る舞いや制約を動的に変更できる仕組みとなっています。
Google Workspace CLIを統合した「スキル」の追加と管理
エージェントに外部サービスを操作する能力を与えるため、システムは「スキル(Skills)」と呼ばれる拡張機能をサポートしています。動画内では、Google Workspace CLI(Command Line Interface)のスキルをエージェントに追加するデモが実演されました。Alejandro氏は、ターミナル上で「npx skills add googleworkspace/cli」というコマンドを実行し、エージェントにGoogle Workspaceへのアクセス権限を付与しました。これにより、エージェントはGmailの未読メールの読み込みやカレンダーの予定作成、Google Driveへのファイルアップロードなどの操作をコマンドライン経由で実行できるようになります。さらに、Webスクレイピングツールである「Firecrawl」のスキル(firecrawl-search、firecrawl-scrapeなど)も追加されており、エージェントが必要に応じてインターネットを探索し、最新の情報を取得できる能力を備えていることが確認できます。
pi-gatewayによるメッセージング仲介とSQLiteセッションルーティング
常時稼働エージェントを外部から安全かつ手軽に操作するため、独自に開発されたメッセージゲートウェイ「pi-gateway」が導入されました。このゲートウェイは、Telegramなどの外部プラットフォームからのメッセージを監視するバックグラウンドプロセスとして動作します。アーキテクチャの解説スライドでは、ゲートウェイがメッセージを受信すると、送信元のプラットフォーム名、対象エージェント名、およびセッションIDを組み合わせた一意の識別子を生成する仕組みがスライドを交えて示されました。このセッション情報は、ローカルマシン上で稼働するSQLiteデータベースに保存されます。既存のセッションが存在しない場合は新規にセッションを作成し、すでにセッションが存在する場合は同じコンテキストを維持したまま、該当するPiのセッションプロセスへとメッセージをルーティングします。これにより、ユーザーはTelegramのチャット画面から、コンテキストを維持した対話を継続できます。
複数エージェントの同時並行稼働とTelegramボット連携デモ
動画の後半では、実際に2つの異なる役割を持つエージェントを構築し、同時に並行稼働させるデモが公開されました。1つ目は、パーソナルアシスタントエージェントの「bunny」です。Alejandro氏は、Telegramの「BotFather」を使用して「bunny」用のボットを作成し、取得したAPIトークンを「pi-gateway init」コマンドに入力して初期化しました。このエージェントには、OpenRouter経由で「Space Bunny Alpha」というステルスモデルが割り当てられました。実際にTelegramから「bunny」に対して「未読メールはあるか」と尋ねると、エージェントはGoogle Workspace CLIのスキルを呼び出し、Gmailから最新の未読メール3件を取得して、差出人と件名、要約をチャット上に返信しました。2つ目のエージェントは、リサーチに特化した「Andrei」です。こちらには「Kimi K3」モデルが設定され、Firecrawlを用いたWeb検索機能が組み込まれました。このように、異なるAPIトークンとモデル、プロンプトを持つ複数のボットを、1台のVPS上で同時に起動して使い分ける様子が実演されました。
性能・ベンチマーク
本動画は、オープンソースのツール群を組み合わせたセルフホストエージェントの構築手順と機能デモに特化した内容であり、LLM自体の推論速度やタスク成功率に関する定量的なベンチマーク数値の提示はありませんでした。デモ映像から確認できる範囲では、Telegramでメッセージを送信してからエージェントが応答を開始するまでの処理時間は数秒から10秒程度でした。この処理時間には、外部API(OpenRouter)へのリクエスト、Google Workspace CLIの実行、および「Pi」フレームワークによるツールの呼び出し判定が含まれています。実用的な応答速度ではありますが、商用の統合型アシスタントと比較すると、複数のツールを連鎖的に呼び出すステップにおいて、ローカルサーバーの処理能力やネットワーク遅延が応答速度に影響を及ぼす可能性があります。また、タスクの実行精度は選択する基盤LLMの性能に依存するため、安定した動作には十分なコンテキストウィンドウとツール利用能力を持つモデルの選定が必要です。
競合サービスとの比較
今回実演された自作エージェントシステムと、既存の主要なエージェントサービスを比較します。比較対象として、OpenAIが提供する「dots」(商用・クローズドソース)、およびエージェント開発プラットフォームである「Hermes Agent」および「OpenClaw」を取り上げます。
| 評価項目 |
本システム(Pi + pi-gateway) |
OpenAI dots |
Hermes Agent / OpenClaw |
| ソースコード |
完全にオープンソース |
クローズドソース |
オープンソース |
| 稼働環境 |
自社サーバー / VPS(セルフホスト) |
OpenAIの管理クラウド |
セルフホスト可能 |
| 選択可能なLLM |
任意(Llama, Kimi, Space Bunny等) |
OpenAI製モデル限定 |
任意(オープンソース、商用API) |
| 外部連携手法 |
CLI、API、カスタムスキル |
プラグイン、公式統合 |
各種API統合 |
| インターフェース |
Telegram(拡張可能) |
公式専用アプリ |
ターミナル、Web UI |
| データプライバシー |
非常に高い(ローカルSQLite管理) |
OpenAIのプライバシーポリシーに準拠 |
高い(セルフホスト時) |
(編集部注:OpenAIのdotsはユーザーのコンテキストを常時学習し、シームレスな体験を提供する一方で、データの外部送信や利用料金の不透明さが課題となる場合があります。これに対し、Piとpi-gatewayを用いたシステムは、すべてのセッションデータがローカルのSQLiteに保存され、通信も自身が管理するAPIキーを介して行われるため、データプライバシーの観点で圧倒的な優位性を持っています。一方で、OpenAI dotsのような洗練されたUIや、デバイス間での完全な同期機能、極めて低い遅延での動作などは、現時点の自作システムでは及びません。また、OpenClawなどの既存のオープンソースプロジェクトと比較すると、今回のシステムは「Pi」の軽量なセッション管理と、メッセージルーティングに特化したシンプルなゲートウェイ構造により、リソース消費が少なく、VPSでの運用が容易である点が特徴です。)
料金・提供プラン
本システムを構築するために必要なソフトウェア(Pi、pi-gateway、Tauなど)は、すべてGitHub上でライセンスフリーのオープンソースとして無償公開されています。したがって、ソフトウェア自体の利用料金やライセンス費用は発生しません。しかし、実際にシステムを常時稼働させ、実用的に運用するためには、以下のインフラコストおよびAPI利用料が実費として発生します。
まず、常時稼働マシンとしてVPS(仮想専用サーバー)を利用する場合、月額数百円から数千円程度のサーバー維持費が必要です。次に、エージェントが利用するLLMのAPI利用料が発生します。デモで使用されたOpenRouter経由での「Space Bunny Alpha」や「Kimi K3」などのモデルは、トークン数に応じた従量課金制となっています。ローカルPCでLlamaなどのオープンソースモデルを完全ローカルで実行する場合はLLMのAPI費用は不要ですが、その場合は相応のGPU性能を持つハードウェア資産が必要となります。最後に、検索スキルとして使用する「Firecrawl」などの外部APIサービスについても、無料枠を超えた利用にはプランに応じた月額費用が発生します。
日本から使う方法
日本のユーザーがこのシステムを導入し、今日から試すための具体的な手順は以下の通りです。特別な地域制限はなく、日本国内からでも完全に利用可能です。
- 前提条件の準備:
- 常時稼働可能なLinux環境(Ubuntu等のVPS、または常に電源が入っているPC)を用意します。
- システムにNode.jsおよびPython環境がインストールされていることを確認します。
- 高速なPythonパッケージ管理ツールである「uv」をインストールしておきます。
- pi-gatewayのインストール:
- ターミナルを開き、コマンド「uv tool install pi-gateway」を実行して、ゲートウェイツールをグローバルにインストールします。
- Telegramボットの作成:
- Telegramアプリで「@BotFather」を検索し、チャットを開始します。
- 「/newbot」コマンドを送信し、画面の指示に従ってボットの名前とユーザー名(末尾が「_bot」である必要があります)を設定します。
- 生成されたAPIトークン(HTTP APIアクセス用)をコピーして控えておきます。
- ユーザーIDの特定:
- Telegramで「@userinfobot」などのID確認用ボットを検索し、メッセージを送信して、自身の数値型ユーザーID(9桁以上の数字)を取得します。これは、他人があなたのボットを悪用するのを防ぐためのセキュリティ設定に使用します。
- ゲートウェイの初期化と起動:
- エージェントのディレクトリ(例:「agents/pa-assistant」)に移動します。
- 「pi-gateway init」を実行し、プロンプトに従って先ほど控えた「Telegramボットトークン」「許可するユーザーID」「エージェントの作業ディレクトリ」「使用するLLMモデル名」を入力します。
- 初期化完了後、「pi-gateway start -i <インスタンス名>」を実行してゲートウェイをバックグラウンドで起動します。以降、設定したTelegramボットにメッセージを送信することで、エージェントとの対話が開始されます。
誰にどう効くのか
エンジニアへの実務インパクト
エンジニアにとって、本システムは「常時稼働型エージェント」の内部構造を完全に把握し、カスタマイズできる強力なプレイグラウンドとなります。商用サービスではブラックボックス化されているセッション管理やツール呼び出しのロジックが、SQLiteとPiフレームワークというシンプルな構造で可視化されているため、独自のAPIや社内ツールをエージェントの「スキル」として容易に統合できます。また、近年注目されているModel Context Protocol(MCP)などの新しいエージェント規格への対応や、独自のカスタムスキルの開発をローカル環境で迅速にテストできるため、エージェント技術の社会実装に向けた技術検証プロセスを大幅に高速化できます。
企画・マーケティング担当者への実務インパクト
企画やマーケティングの担当者にとっては、自社ブランドや特定の製品に特化した「パーソナライズド・アシスタント」のプロトタイプを、開発部門に大きな負担をかけることなく迅速に構築できる点がメリットです。例えば、自社の製品仕様書やFAQのドキュメントをエージェントのディレクトリに配置し、適切なシステムプロンプトを設定するだけで、24時間顧客対応や社内問い合わせに応答するTelegramボットが数時間で完成します。これにより、新しい顧客体験(CX)のアイデアを実際の動作モデルを用いて検証し、本番開発への移行判断を下すための確実なデータを早期に収集できます。
経営層への実務インパクト
経営層にとって、本システムは「データプライバシーの確保」と「業務効率化」を両立させる極めて現実的なガバナンス手段となります。機密性の高い社内データや顧客情報を扱うエージェントを構築する際、商用のクローズドなAIサービスではデータ漏洩や二次利用のリスクを完全に排除することが困難です。本システムのように、自社が管理するVPSやローカルサーバー内にすべての対話履歴(SQLite)とエージェントの実行環境を閉じ込めることで、企業のセキュリティポリシーを厳格に遵守した形で、最新の自律型AIエージェントによる業務自動化を推進できます。
まとめ
本動画で実演された「Pi」と「pi-gateway」によるセルフホスト型エージェントの構築は、OpenAI dotsのような最先端のAI体験を、個人の手で、かつ完全なプライバシー制御のもとで再現できることを証明しました。データがローカルのSQLiteに保存され、任意のモデルを選択できる自由度は、オープンソースならではの強力な強みです。
読者が次に取るべき行動は、まず手元の開発環境や安価なVPSに「uv」を用いて「pi-gateway」をインストールし、Telegramボットを1つ作成して、自身専用のAIアシスタントとの対話を体験することです。そこから、独自のドキュメントを追加してエージェントの個性をチューニングし、実務への適用可能性を探るステップへと進むことを推奨します。
動画のタイムテーブル
- 0:00OpenAI dotsのコンセプトと、オープンソースモデルによるセルフホストの概要説明
- 1:56エージェントディレクトリの構造と、設定ファイル「AGENTS.md」の役割解説
- 3:50Google Workspace CLIを用いたカレンダーやGmailアクセスのスキル追加実演
- 6:40メッセージゲートウェイ「pi-gateway」のアーキテクチャとSQLiteによるセッション管理の解説
- 11:05高速Pythonパッケージマネージャー「uv」を用いたpi-gatewayのインストールデモ
- 12:44Telegramの「BotFather」を使用した新規ボットの作成とAPIトークンの取得手順
- 13:56ユーザーIDの特定とセキュリティ設定、pi-gatewayの初期化プロセスの実行
- 15:10パーソナルアシスタント「bunny」の起動と、Telegram上でのGmail要約デモ
- 16:562つ目のリサーチ用エージェント「Andrei」の追加と、Kimi K3モデルを用いた接続デモ
- 19:41システムのまとめと、今後のMCP対応や他プラットフォーム拡張などの展望提示
記事で紹介したツール
この機能を、いま自分の環境で試す
記事の内容は公式発表の要約です。実際の使い勝手は触ってみないと分かりません。多くは無料枠から始められます。
公式サイトで試す→提供: OpenAI
本記事は元動画の映像・音声をAIが解析して自動生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、正確な仕様・料金は公式発表をご確認ください。元動画を見る(解析モデル: gemini-3.5-flash)