YouTubeチャンネル「両学長 リベラルアーツ大学」にて、2026年7月度の国内外の株式市場や経済指標を網羅した解説動画が公開されました。日経平均株価が単月で8%以上急落した背景や、34年ぶりとなる名目賃金の上昇、さらに為替介入による急激な円高など、激動のマーケット動向を一次情報に基づいて専門記者が解説します。
この動画で語られていること
本動画では、IT・マネー分野のインフルエンサーであり、オンラインコミュニティ「リベシティ」を運営する両学長が、2026年7月度における国内外の株式市場、為替市場、および主要な経済指標を包括的に解説しています。
両学長は、インデックス投資と高配当株投資という2つのアプローチを軸に据え、それぞれの投資家が現在どのようなポジションを取るべきか、そして日本の実体経済がどのように推移しているかを具体的な数値とチャートを用いて冷静に分析しています。特に、過熱感のあった日経平均株価の調整と実質賃金の上昇、さらには日米の金利政策が市場に与える影響について、中長期的な視点から論じています。
解説された内容の詳細
1. 国内株式市場の二極化と半導体株の調整
2026年7月31日時点の国内株式市場において、日経平均株価とTOPIXの動きには極めて顕著な乖離、すなわち「二極化」が発生しました。日経平均株価は7月単月で8.14%(マイナス5,700.30円)と大幅に下落し、終値は64,362.02円となりました。その一方で、東証株価指数(TOPIX)は単月で0.21%の微増となり、4,003.30ポイントで取引を終えています。
この乖離について、両学長は「日経平均株価を牽引してきた半導体関連株の勢いが明確に弱まったため」と説明しています。これまで「半導体株にあらずんば株にあらず」とまで言われた過熱相場が冷やされ、市場の資金が半導体以外のバリュー株や高配当株へと分散した結果、TOPIXは下支えされました。これにより、日経平均株価とTOPIXの比率を示す「NT倍率」は、従来の18倍弱から16倍弱へと縮小し、市場全体のバランスが是正された形となっています。
2. リアル景気の実態と「マクロ好景気・ミクロ不景気」の温度差
両学長は、日本政府や各種統計が示す経済指標を基に、現在の景気判断には「マクロ(国全体)」と「ミクロ(個人の生活実感)」の間で大きな温度差があると指摘しています。
内閣府が7月29日に公表した「月例経済報告」では、景気判断を「緩やかに回復している」とし、5ヶ月連続で同見解を維持しました。また、景気の現状や先行きを示す「景気動向指数(一致指数)」も前月比マイナス0.2ポイントと微減したものの、基調判断は最も高い評価である「改善」を維持しており、マクロデータ上は好景気を示しています。
しかし、街の小売店やサービス業で働く人々の実感を調査した「景気ウォッチャー調査」では、6月の現状判断DIが44.0ポイントとなり、景気判断の分岐点である50を大きく下回っています。この要因として、長引くインフレ(物価上昇)が消費者の財布を直撃していることが挙げられます。両学長は「国全体の数字(マクロ)は良く見えても、個々人の生活実感(ミクロ)は依然として厳しい不景気状態にある」と分析しています。
3. 実質賃金の5ヶ月連続プラスと34年ぶりの名目賃金上昇
日本の雇用・賃金環境においては、非常にポジティブな変化が確認されています。厚生労働省が公表した5月分の実質賃金指数は、前年同月比プラス1.4%となり、5ヶ月連続でのプラスを記録しました。実質賃金がプラスになるということは、物価の上昇を上回るペースで基本給や手当などの給与が増加していることを意味します。
さらに、給与明細に直接記載される「名目賃金」は、4ヶ月連続で前年同月比3%以上の増加を達成しました。これは1992年以来、実に34年2ヶ月ぶりの高い伸び率です。両学長は「失われた30年が終わり、ようやく給料が上がる世界が戻ってきた」と評価しています。物価が1〜2%上昇したとしても、給与が3〜4%上昇すれば実質的な購買力は向上するため、この賃金上昇トレンドが定着するかどうかが、今後の国内消費の鍵を握ることになります。
4. 「骨太ショック」による長期金利2.9%への急上昇と日銀の政策金利据え置き
7月の国内債券市場では、金利の急上昇が大きな話題となりました。7月9日、日本の長期金利(10年物国債利回り)が一時2.9%に達し、約30年ぶりの高水準を記録しました。この引き金となったのが、高市政権による「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案公表です。この原案から「財政健全化」という文言が消失したため、市場は「政府は財政悪化を容認するのではないか」と受け止め、国債が売られて金利が急上昇する事態となりました。これを市場では「骨太ショック」と呼んでいます。
一方、日本銀行は7月31日の金融政策決定会合において、政策金利を1.0%に据え置くことを決定しました。これはサプライズのない予想通りの結果でしたが、現在の1.0%という金利水準自体、1995年以来31年ぶりの高水準です。両学長は「日銀の利上げ路線そのものは継続しており、次回の利上げは年内10月〜12月が有力視されている」とし、金利のある世界への移行が本格化していると解説しています。
5. 為替市場の激動:1ドル164円迫る円安から介入による157円台への急変
為替市場では、歴史的な円安の進行と、それに抗う政府・日銀による為替介入が実施され、ボラティリティの極めて高い展開となりました。7月上旬には一時1ドル=164円に迫る深刻な円安が進行しました。両学長は円安の構造的要因として、以下の4点を挙げています。
- 日米の金利差: 日本の政策金利1.0%に対し、米国は3.50%〜3.75%と依然として大きな開きがあります。
- 貿易赤字(デジタル赤字): AmazonやGoogle、Appleといった米国IT企業へのサービス支払いに伴う、恒常的な円売り・ドル買いが発生しています。
- 海外投資の加速: 新NISAなどを通じたオルカン(全世界株式)やS&P500への資金流入が円売りを誘発しています。
- 日本の経済力低下: 成長期待の低さから円が売られやすくなっています。
この急激な円安に対し、政府・日銀は7月30日より為替介入(協調介入)を実施しました。これにより、ドル円レートは一時163円台から157円台へと急激に円高方向へ押し戻されました。両学長は「構造的な円安要因は変わらないものの、短期的には政府の介入による急激な揺り戻しが起こるリスクを警戒すべきだ」と警鐘を鳴らしています。
6. 米国半導体株(SOX指数)の弱気相場入りと米国高配当株・債券ETFの現状
海外市場、特に米国市場においては、これまで相場を牽引してきたハイテク・半導体株に強い逆風が吹きました。7月17日、米国の主要な半導体株指数である「SOX指数」が、直近の最高値から20%以上下落し、定義上の「弱気相場入り」を果たしました。下落の背景には、これまで巨額の資金が投じられてきた「AI投資」に対するコスト懸念や、実際の収益化(回収)に対する疑問、さらには株価自体の割高感(期待先行の是正)があります。
このハイテク株の調整は、S&P500指数の重石となり、7月単月のS&P500はマイナス0.13%と低迷しました。しかし、その一方で、ハイテク株をあまり含まない米国高配当株ETFは堅調な推移を見せました。年初来パフォーマンス(7月31日時点)では、HDVが+18.13%、SPYDが+14.45%、VYMが+12.85%となり、S&P500の年初来+9.41%を大きく上回る好成績を収めています。
また、米国債券市場では、金利の高止まりを背景に債券価格が下落し、総合債券ETF(AGG)の年初来リターンはマイナス2.51%(分配金利回り4.04%)となりました。両学長は「債券はインカム(利息)目的の長期投資と割り切るべきであり、短期的な価格変動に一喜一憂してはならない」と述べています。
動画で示された数字
動画内で提示された主要な経済指標および投資商品の数値を以下にまとめます。(数値は2026年7月31日時点、または動画内で公表された最新の値を採用しています)
| 項目・指標名 |
数値・パフォーマンス |
データの基準時点・補足 |
出典 |
| 日経平均株価 |
64,362.02円 |
7月31日終値(年初来 +24.17% / 7月単月 -8.14%) |
Google Finance |
| TOPIX(東証株価指数) |
4,003.30 pt |
7月31日終値(年初来 +15.12% / 7月単月 +0.21%) |
Google Finance |
| グロース250連動ETF (2516) |
547.60円 |
7月31日終値(年初来 +2.43% / 7月単月 -2.48%) |
Google Finance |
| J-REIT連動ETF (1343) |
2,012.50円 |
7月31日終値(年初来 -7.77% / 7月単月 +2.60%) |
Google Finance |
| コアCPI(消費者物価指数) |
前年同月比 +1.6% |
6月分データ(5ヶ月連続で2%を下回る) |
日本経済新聞 |
| 企業物価指数 |
前年同月比 +7.1% |
6月分データ(業者間取引での強いインフレを示す) |
日本経済新聞 |
| 実質賃金指数 |
前年同月比 +1.4% |
5月分データ(5ヶ月連続のプラス) |
日本経済新聞 |
| 有効求人倍率 |
1.18倍 |
6月分データ(雇用環境は底堅い) |
日本経済新聞 |
| 日本の長期金利(10年国債) |
一時 2.9% |
7月9日時点(約30年ぶりの高水準) |
TBS NEWS DIG |
| 日本の政策金利 |
1.0% |
7月31日日銀会合にて据え置き決定(31年ぶり高水準) |
日本銀行 |
| 米国政策金利 |
3.50%〜3.75% |
7月29日FOMCにて据え置き決定(※動画内提示数値) |
FRB |
| ゴールドETF (GLD) |
371.54ドル |
7月31日時点(年初来 -6.71%) |
Google Finance |
| 米国総合債券ETF (AGG) |
年初来 -2.51% |
分配金利回り 4.04% |
Google Finance |
| 米国優良社債ETF (LQD) |
年初来 -3.58% |
分配金利回り 4.66% |
Google Finance |
| 米国ハイイールド債ETF (HYG) |
年初来 -1.43% |
分配金利回り 5.95% |
Google Finance |
| 米国高配当株ETF (HDV) |
年初来 +18.13% |
分配金利回り 約2.90%(過去平均は約3.5%) |
Google Finance |
| 米国高配当株ETF (SPYD) |
年初来 +14.45% |
分配金利回り 約4.03%(過去平均は約4.5%) |
Google Finance |
| 米国高配当株ETF (VYM) |
年初来 +12.85% |
分配金利回り 約2.25%(過去平均は約2.9%) |
Google Finance |
| 日本の適合高配当株数 |
810社 |
7月31日時点(前月比 -71社) |
動画内独自集計 |
前提となる制度・仕組み
本動画の解説を深く理解するために、前提となる金融制度や市場の仕組みについて整理します。
NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)
インデックス投資を実践する上で最も重要な非課税口座制度です。通常、投資で得られた利益や配当金には約20.315%の税金が課されますが、これらの制度を利用することで非課税運用が可能となります。両学長が推奨する「淡々と継続する」インデックス投資は、主にこれらの非課税枠を活用した長期・積立・分散投資を前提としています。
為替介入(協調介入)
急激な為替変動に対して、政府・中央銀行が市場で自国通貨を売買してレートを安定させる措置です。今回は過度な円安を是正するため、日本政府が円を買いドルを売る「円買い介入」を実施しました。さらに、米国など他国の協調を得て行う「協調介入」により、市場へ強いメッセージが送られ、一時的に急激な円高がもたらされました。
政策金利と債券価格の関係
中央銀行(日銀やFRB)が設定する政策金利は、市場金利や債券価格に直接影響を与えます。一般的に金利が上昇すると、新しく発行される債券の利回りが高くなるため、すでに発行されている古い債券(相対的に利回りが低い債券)は売られ、価格が下落します。7月に米国債券ETF(AGGなど)の価格が軟調だったのは、米国の金利高止まり観測が背景にあります。
他の選択肢との比較
動画内で言及された各投資手法・アプローチについて、コスト、流動性、リスク、手間の4つの軸から比較します。(評価は動画内の言及および一般的な市場環境に基づきます)
| 投資アプローチ |
コスト |
流動性(換金性) |
主なリスク |
運用にかかる手間 |
世界分散インデックス投資 (iDeCo・NISA活用) |
極めて低い (信託報酬0.1%前後) |
高い (数営業日で現金化可能) |
中〜高 (世界市場の暴落リスク、為替変動リスク) |
ほぼ不要 (一度設定すれば自動積立) |
日本高配当株投資 (個別銘柄の厳選) |
低い (売買手数料のみ、一部無料化) |
高い (東証開場時間中に売買可能) |
中〜高 (個別企業の業績悪化、減配リスク) |
高い (銘柄選定、決算分析、ポートフォリオ管理) |
米国高配当株ETF (VYM、HDVなど) |
極めて低い (経費率0.06%〜0.08%程度) |
極めて高い (米国市場でリアルタイム売買) |
高 (為替変動リスク、二重課税、米国市場の暴落) |
低い (ETFのため個別銘柄選定は不要) |
米国債券ETF (AGG、LQDなど) |
極めて低い (経費率0.03%〜0.14%程度) |
極めて高い (米国市場でリアルタイム売買) |
低〜中 (為替変動リスク、金利上昇による価格下落) |
低い (定期的な分配金管理のみ) |
両学長の見立てでは、インデックス投資は「タイミングを読まずに淡々と継続するもの」であり、高配当株投資や債券投資は「キャッシュフロー(分配金)を得るためのアクティブ運用」として明確に目的を分けるべきだとしています。
見落としてはいけないリスク
本動画で解説された良好な投資環境の裏には、投資家が必ず認識すべき重大なリスクが潜んでいます。
為替相場の急激な揺り戻し(円高リスク)
1ドル=160円を超える歴史的な円安トレンドは、ドル建て資産(S&P500や米国株、米国債券)を保有する日本の投資家に多大な「為替差益」をもたらしました。しかし、7月末に実施された為替介入のように、日米の金利差縮小や介入によって急激な円高(例えば1ドル=140円方向)へ進んだ場合、資産の評価額は大きく目減りします。両学長は「163円から140円になるだけで、ドル建て資産は円換算で約14%目減りする」と試算し、円高による資産減少リスクを強く意識するよう求めています。
債券投資における「トータルリターン」の勘違い
「利回りが4%〜5%と高いから」という理由だけで米国債券(AGGやLQD)を購入すると、元本割れで損失を被るリスクがあります。金利が上昇する局面では、債券の価格自体が下落するため、受け取る利息以上の含み損が発生し、トータルでマイナスになることがあります。両学長は「債券投資で損失を避けるためには、10年以上の長期保有を前提とし、インカム(利息)を積み上げていく姿勢が不可欠である」と解説しています。
個別銘柄への集中投資と減配リスク
日本の高配当株投資において、株価上昇に伴い「適合銘柄数」が前月比で71社も減少しました。これは割安な優良株が減っていることを意味します。焦って妥協した銘柄を買ったり、特定の業界に集中投資したりすると、将来の業績悪化時に「減配(配当金が減ること)」や「無配」に転落し、株価も急落するダブルパンチを受けるリスクが高まります。
この話が当てはまる人・当てはまらない人
本動画の投資判断やアドバイスが、どのような読者に適しているかを整理します。
当てはまる人(参考にするべき人)
- 老後資金や教育資金を10〜20年以上の長期で形成したい人
インデックス投資をNISAやiDeCoで淡々と継続するアプローチは、長期的な資産形成を目指す全ての人に合致します。
- すでに一定の資産があり、毎月のキャッシュフロー(配当金)を増やしたい人
日本株の優良な高配当株を厳選してポートフォリオを構築する手法は、生活費の足しにしたい人に適しています。
- リスク許容度が高く、短期的な市場のボラティリティを許容できる人
半導体株の急落や為替介入による乱高下を「一時的なノイズ」として静観できるタフな投資家には、現在の相場は絶好の観察機会となります。
当てはまらない人(参考にすべきでない人)
- 数ヶ月から1〜2年程度の短期で確実にお金を増やしたい人
現在の国内外の株式・為替市場はボラティリティが極めて高く、短期投資は損失を被るリスクが非常に高い状態です。
- リスク許容度が極めて低く、元本割れを絶対に避けたい人
実質賃金の上昇や金利のある世界への移行期においては、預貯金以外のリスク資産(株式・債券)は一時的に大きく値下がりする可能性があります。元本保証を望む場合は、投資自体を控えるべきです。
- 自分で企業の決算書を読んだり、銘柄分析をしたりする時間が取れない人
日本の個別高配当株投資は、割安性の判断や減配リスクの分析が必要なため、手間をかけられない人には不向きです。その場合は、手間のかからないインデックス投資に一本化するべきです。
まとめ
2026年7月の国内外マーケットは、日経平均の急落、実質賃金のプラス転換、為替介入による円高など、大きな転換点を感じさせる1ヶ月となりました。
読者の皆様が次に取るべき行動は、まず自身の「リスク許容度」を再確認することです。そして、インデックス投資を行っている方は、日々の株価や為替の乱高下に惑わされず、NISAやiDeCoの積立設定を「淡々と維持」してください。高配当株投資を検討している方は、焦って割高な銘柄に手を出さず、企業の財務健全性や配当維持力を慎重に見極め、納得のいく優良銘柄のみを厳選して買い付ける姿勢を徹底してください。
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