概要
ニッセイ基礎研究所は2026年10月30日にレポートを公表しました。経済調査部長の斎藤太郎氏が執筆しました。タイトルは「鉱工業生産26年9月-熊本地震や台風・豪雨の影響を受けながらも、7-9月期は小幅な増産を確保」です。
2026年9月の鉱工業生産指数は前月比2.2%の上昇となりました。これで3ヵ月ぶりのプラスを記録しています。
熊本地震や台風、豪雨といった自然災害が発生しました。工場の稼働停止や設備冠水などの影響がありました。それでも自動車などの主力の生産が持ち直しています。
何が発表された?
ニッセイ基礎研究所の経済研究部・経済調査部長である斎藤太郎氏がレポートを発表しました。2026年9月の鉱工業生産指数の結果と、同年7-9月期の動向についてまとめています。
発表によると、2026年9月の鉱工業生産指数は前月比2.2%となりました。市場の事前予想を上回る結果となっています。
また、7-9月期の鉱工業生産は前期比0.3%となりました。これで4四半期連続の増産を維持しています。
度重なる自然災害によるマイナス要因がありました。それでも一部の業種が力強い回復を見せました。これが全体の数値を押し上げています。
中身をくわしく見ると?
9月の増産を引っ張った自動車と機械類
2026年9月の単月では、鉄鋼業が減産となりました。豪雨による設備の冠水や火災に伴う操業停止の影響を受けています。
しかし、自動車工業が前月比5.5%と大幅な増加を記録しました。前月は熊本地震の影響で工場の稼働が大きく落ち込んでいました。
さらに、汎用・業務用機械、生産用機械、電子部品・デバイスなども増加しました。全体として3ヵ月ぶりの上昇となっています。
7-9月期を支えたAI関連需要と化学製品
7-9月期全体で見ると、前期比0.3%の増産となりました。4四半期連続でプラスを確保しています。
この期間は世界的な人工知能(AI)関連需要が広がりました。これを背景に半導体製造装置などの生産用機械が大幅に増えています。
また、中東情勢の悪化によって前期に落ち込んでいた素材関連の生産も回復に向かいました。有機・無機化学や、石油・石炭製品などが該当します。
先行きの生産予測と今後の懸念点
製造工業生産予測指数によると、生産計画が立てられています。10月は前月比5.1%、11月は同0.8%の増産が計画されています。
10月は生産用機械や電子部品・デバイスなどで大きく生産を増やす見込みです。
ただし、実際の生産実績が企業の事前の計画を下回る傾向が見られます。そのため、今後の動向には注意が必要であるとレポートでは指摘されています。
数字で見ると?
| 比べること |
前 |
今回 |
変化 |
| 2026年9月鉱工業生産指数 |
前月比マイナス等(8月大幅減) |
前月比2.2%増 |
3ヵ月ぶりの上昇 |
| 2026年7-9月期鉱工業生産 |
前期比等(3期連続増産) |
前期比0.3%増 |
4四半期連続の増産 |
| 10月製造工業生産予測指数 |
言及なし |
前月比5.1%増 |
大幅な増産計画 |
| 11月製造工業生産予測指数 |
言及なし |
前月比0.8%増 |
小幅な増産計画 |
なぜ今?業界への影響は?
日本の製造業は常にリスクにさらされています。国内外の自然災害や地政学リスクといったサプライチェーン(供給網)の断絶リスクがあります。
今回は熊本地震や台風・豪雨が重なりました。しかし、自動車の急回復やAI関連の根強い需要がそれらのマイナス影響をカバーする形となりました。
(編集部注:世界的なAI開発競争に伴う半導体関連の投資熱が続いています。これが国内の装置産業や部品メーカーの業績を支える構図となっています。)
今後は計画通りの生産が実行されるかどうかが重要です。それが国内の景気全体の底堅さを占う重要な手がかりとなります。
自分に関係ある?
企業の生産活動の動向は働く人たちの給与や雇用環境に影響を与えます。さらには私たちが購入する商品の価格や流通にも間接的に影響を与えます。
自動車や半導体関連の工場で働く人がいます。あるいは取引先を持つ事業者もいます。そうした人たちにとっては、直近の生産回復と今後の予測値は事業計画を立てるうえで参考になる情報です。
一方で、直接的な消費行動において個人の生活にすぐに変化が起きるわけではありません。
もう使える?取引できる?
本レポートはニッセイ基礎研究所が一般向けに公開している経済分析資料です。商品やサービスの購入・申込を行う性質のものではありません。
最新の経済指標の詳細を確認したい場合があります。あるいは今後の日本経済に関するレポートの全文を確認したい場合もあります。その場合は以下の発信元公式サイトをご覧ください。
- 発信元:ニッセイ基礎研究所(公式サイトより「経済・金融フラッシュ」の該当ページを参照)
まとめ
今後は生産計画通りの生産が実際に維持されるかどうかが注目されます。対象は10月や11月に予定されている増産計画です。
読者におかれましては専門機関が発表する最新の統計データに目を向けていくことが推奨されます。ニッセイ基礎研究所などの専門機関が月例の景気動向などを発表しています。