Cadenceが提供する自律型AIエンジニア(Autonomous AI Engineer)は、半導体の機能記述を行うRTL(Register Transfer Level)開発工程を劇的に高速化します。従来の開発では、大規模回路のRTL記述や機能調整に習熟したエンジニアが数週間を費やすことが一般的でした。しかし本機能では、AIエージェントが論理記述からフロー制御までを能動的に進めることで、作業時間をわずか数時間へと短縮します。動画内の画面では、Rubin GPU、Vera CPU、BlueField-4 DPU、NVLink-6といった最新の高度なコンポーネント構成に対して、Verilog/SystemVerilogコードやRISC-Vコアモジュール(riscv_core_branch_unitなど)の割り当て、条件分岐処理(branch_unit_enable等)がAIによって自動生成・整理される様子が示されています。
Siemens EDAは、自律型物理検証に対応する「Fuse Agent」を公開しました。Fuse Agentは、物理検証ツール「Calibre」のログデータ(Calibre Advisorログ)やDRC(デザインルールチェック)の実行進捗を自然言語やコマンドラインインターフェースを介して解釈します。デモ画面では「What's the current status of this DRC run?」というユーザーからの入力に対し、Agentがバックエンドで必要なツールを自動選択・実行し、ログファイル内のメモリ使用推移(例:81.2GB)やスワップ処理のタイムライン、ボトルネックとなっているプロセスの分析結果を構造化して提示する様子が確認できます。人間が手動で行っていた膨大なログ解析をAIが代行します。
多層基板やチップレット構造を採用する最先端の3D-IC設計に向けて、Cadenceは「Cadence Aura Stack AI」を披露しました。本ツールは、3D-ICパッケージングおよびPCB設計の初期探査から物理実装、最終サインオフまでを一貫してカバーします。UI上の対話型AIに対し「Can you read my print, create the logic dies and align all of them?(図面を読み込んでロジックダイを作成し、すべて配置・整列してください)」と指示するだけで、AIが自動的にレイアウト設計を開始し、ダイの配置座標やHBM(高帯域幅メモリ)の位置合わせ、最短配線ルールを満たす配置プランを出力します。さらに、電子機器向け熱解析ツール「Celsius Studio ET Co-Simulation」とNVIDIAの密行列解法ライブラリ「NVIDIA cuDSS」の統合により、複雑な積層チップ構造における高精度な熱収束シミュレーションを高速に完了させます。
半導体チップ単体の枠を超え、基板や冷却機構を含むシステム全体(Silicon to Systems)の最適化を行う手段として、「NVIDIA PhysicsNeMo」が組み込まれています。PhysicsNeMoは、流体挙動、熱伝導、構造歪みなどの複雑なマルチフィジックス現象を高速予測する物理AIフレームワークです。動画内のデモでは、プリント基板上のヒートシンクと冷却風のレイノズ数や空気流の軌跡がカラフルな流線ベクトルで可視化されています。さらに、Synopsysの「Autonomous Ansys AI Engineer」デモでは、NVIDIAの計算ライブラリ「NVIDIA cuISS」を活用し、Ansysの構造・熱解析ツールと連携して、ヒートシンクの形状やフィン厚み、内部直径などのパラメータサーチ(13回以上の反復計算)を完全に自動処理するプロセスが示されています。
動画内では各AIエージェントツールや機能の個別価格、API従量課金体系に関する直接的な言及はありません。これらの機能は、Synopsys、Cadence、Siemens EDA、Ansysが提供するフラッグシップ製品の機能拡張またはAIオプションモジュールとして提供されます。また、基盤となるNVIDIA PhysicsNeMoやCUDA-Xライブラリ(cuDSS、cuISS等)の導入・利用条件については、NVIDIA AI Enterpriseまたはパートナー各社の利用契約に準拠します。