公式発表イエノミカタ
令和8年地価公示に見る多摩地域の住宅地動向、上昇率下位10自治体の特徴と相続リスク
東京都財務局が公表した令和8年地価公示に基づき、多摩地域の住宅地における地価動向を分析します。データが存在する多摩地域28市町村のすべてで地価が上昇した一方、上昇率には最大18倍の格差が生じました。本記事では、上昇率が低かった上位10自治体の顔ぶれと、その背景にある地理的・交通的要因を詳しく解説します。
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元動画: 【全部プラスなのに18倍差】多摩で地価がほぼ上がらなかった街TOP10を宅建士が解説
3秒でわかる要点
- 1令和8年地価公示における多摩地域の住宅地は、データのある28市町村すべてでプラスを維持しました
- 2上昇率が最も低かったのはあきる野市と日の出町の+0.4%で、国分寺市の+7.2%とは18倍の開きがあります
- 3上昇率下位6自治体はすべて西多摩エリアに集中しており、青梅線や五日市線の沿線で上昇が緩やかです
この動画で語られていること
本動画では、不動産専門チャンネル「イエノミカタ」のナビゲーターが、令和8年地価公示(2026年1月1日時点)のデータをもとに、東京都多摩地域の住宅地における地価動向を解説しています。データが存在する多摩地域の28市町村すべてで地価が前年比プラスを記録したものの、その上昇率には極めて大きな格差が生じている実態が明らかになりました。
動画内では、上昇率が最も高かった国分寺市のプラス7.2%に対し、最も低かった自治体はプラス0.4%にとどまり、約18倍の開きがあることを指摘しています。この上昇率が「低かった」上位10自治体に焦点を当て、それぞれの街の地理的特徴や交通利便性、そして地価上昇が緩やかであることの市場における意味を、宅建士の知見を交えて論じています。
取り上げられた物件・エリアの詳細
動画では、多摩地域で住宅地の地価上昇率が低かった上位10自治体について、それぞれの特徴を具体的に挙げています。以下に、上昇率が低い順(同率1位から10位まで)に各エリアの詳細を記述します。
あきる野市(同率1位:上昇率 +0.4%)
あきる野市は、秋川の谷に開けた自然豊かな街です。市内にはJR五日市線が通っており、拝島駅から武蔵五日市駅までを結んでいます。都心へのアクセスには乗り換えが必要な場合が多く、通勤利便性よりも自然環境の豊かさが際立つエリアです。駅周辺を除くと、住宅地はのどかな里山風景に隣接しています。
日の出町(同率1位:上昇率 +0.4%)
日の出町は、あきる野市に隣接する自治体です。町内には鉄道駅が存在せず、公共交通機関は主に路線バスに依存しています。住宅地は主に丘陵地を切り開いて造成されており、日々の移動には自家用車が不可欠な地域です。大型の商業施設が存在するため生活の利便性は確保されていますが、地価の動きは極めて穏やかです。
青梅市(3位:上昇率 +0.7%)
青梅市は、西多摩地域の中心的な都市であり、多摩の西の玄関口とも称されます。JR青梅線が市内を東西に貫いていますが、市域の大部分を山林や森が占めています。駅から離れた古い住宅地が多く、これらのエリアでは買い手の減少や高齢化が進んでいるため、地価の上昇は限定的なものとなっています。
羽村市(4位:上昇率 +1.3%)
羽村市は、多摩川沿いに位置するコンパクトな市です。江戸時代の歴史を伝える玉川上水の取水堰があることで知られています。JR青梅線沿線に市街地が形成されていますが、大規模な再開発計画が少ないことから、地価は横ばいに近い緩やかな上昇にとどまっています。
福生市(5位:上昇率 +1.4%)
福生市は、多摩川の東側に広がる面積の小さな市です。横田基地が市域の一部を占めるという特有の土地利用制限があります。コンパクトな街並みで生活利便性は高いものの、新たな住宅開発用地が限られていることや、基地周辺の環境要因などから、地価の伸びは穏やかです。
瑞穂町(6位:上昇率 +1.8%)
瑞穂町は、狭山丘陵の西側に位置する街です。市内をJR八高線が通っており、箱根ケ崎駅が中心的な駅となっています。周辺には工場や物流倉庫が多く、住宅地としての需要は中央線沿線に比べて限定的であるため、上昇率は2%を下回る水準となっています。
武蔵村山市(7位:上昇率 +2.4%)
武蔵村山市は、東京都の市の中で唯一、市内に鉄道駅が存在しない自治体です。住民の足はバスや自家用車が中心となります。多摩都市モノレールの延伸計画が存在するものの、現時点では交通の利便性が課題となり、地価の上昇率は多摩地域の平均を下回っています。
東大和市(8位:上昇率 +2.6%)
東大和市は、多摩湖(村山貯水池)の南側に広がる住宅都市です。西武拝島線や多摩都市モノレールが利用可能で、比較的都心へのアクセスは良好です。しかし、急激な人口流入や地価の高騰は見られず、落ち着いた住環境が保たれている反面、地価の上昇は緩やかです。
清瀬市(9位:上昇率 +2.9%)
清瀬市は、多摩地域の北東部に位置し、埼玉県新座市や所沢市と接しています。西武池袋線が通っており、都心への通勤は比較的容易です。医療機関や緑地が非常に多い静かな街並みが特徴ですが、駅周辺の派手な商業開発が少ないため、地価上昇は抑えられています。
多摩市(10位:上昇率 +3.0%)
多摩市は、多摩ニュータウンの開発で知られる一大ベッドタウンです。京王相模原線、小田急多摩線、多摩都市モノレールが乗り入れる多摩センター駅を中心に発展しました。インフラは整備されていますが、ニュータウン初期分譲エリアの高齢化や建物の老朽化が影響し、上昇率は多摩平均を下回りました。
数字で見る条件
動画で提示された、令和8年地価公示における多摩地域の住宅地地価変動率のデータを表に整理します。比較対象として、多摩地域全体の平均値や東京都全体の数値も記載します。
| 自治体・エリア名 |
住宅地平均変動率(対前年) |
出典・データ元 |
| あきる野市 |
+0.4% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 日の出町 |
+0.4% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 青梅市 |
+0.7% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 羽村市 |
+1.3% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 福生市 |
+1.4% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 瑞穂町 |
+1.8% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 武蔵村山市 |
+2.4% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 東大和市 |
+2.6% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 清瀬市 |
+2.9% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 多摩市 |
+3.0% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
| 多摩全域平均 |
+3.9% |
東京都財務局公表資料 |
| 東京都全域平均 |
+6.5% |
東京都財務局公表資料 |
| 東京都区部平均 |
+9.0% |
東京都財務局公表資料 |
| 国分寺市(多摩地域最大) |
+7.2% |
令和8年地価公示(国土交通省) |
(※編集部注:変動率は各自治体内の住宅地公示地点における平均値であり、個別の地点によってはマイナスや大幅なプラスとなっている場合もあります)
市場環境と相場観
動画内で語られた多摩地域の住宅地相場は、明確な「東高西低」の二極化を示しています。中央線沿線である国分寺市(+7.2%)や立川市(+7.0%)といった東側のエリアでは、駅前の再開発や都心へのアクセス性の高さから需要が集中し、地価が急上昇しています。これに対して、立川駅から西へ進む青梅線や五日市線の沿線では、西へ行くほど上昇率が低下する傾向が顕著です。
この背景には、都心回帰志向の強まりと、テレワーク普及の一服による通勤利便性の再評価があります。取材班の見立てでは、西多摩エリアは「自然環境の豊かさ」という強みを持つ一方で、都心への物理的な距離や電車の本数、乗り換えの負担がネックとなり、実需層の買い手が東側エリアに比べて集まりにくい状況が生じています。結果として、多摩地域28市町村すべてがプラスという好況期であっても、西多摩地域の上昇率は0.4%から1.8%という極めて穏やかな水準にとどまることになりました。
制度・税制・ローンの前提
不動産取引や保有において、地価公示価格はさまざまな税金や制度の基準となります。地価の上昇率が緩やかであることは、税制面において必ずしも不利なことばかりではありません。具体的には、固定資産税や都市計画税の評価額、さらには将来の相続税評価額の急激な上昇を抑えられるというメリットがあります。
(編集部注:固定資産税は3年に一度の評価替えが行われ、公示地価の約7割を基準に算出されます。地価が急上昇している区部や中央線沿線では税負担が増加するのに対し、西多摩エリアでは保有コストが安定して推移します)
また、西多摩地域特有の前提として、農地や山林を多く含む土地の存在が挙げられます。これらの土地を相続する場合、通常の住宅地とは異なる法的な手続きが必要です。例えば、農地を処分したり転用したりする際には、農地法に基づく農業委員会の許可や届け出が必要となります。また、山林については森林法に基づき、市町村長への事後の届出義務が発生します。こうした法的な規制や手続きの煩雑さをあらかじめ理解しておくことが、西多摩地域で不動産を扱う際の大前提となります。
見落としてはいけないリスク
地価上昇率が低いエリアで不動産を所有、または相続する場合、以下の4つのリスクを慎重に見極める必要があります。
1. 流動性リスク(出口戦略の難しさ)
地価上昇率が低いということは、市場における購入希望者が少ないことを意味します。売却を決意した際、相場価格であっても買い手が見つかるまでに数ヶ月から数年以上を要するケースが珍しくありません。特に駅から離れた物件や、接道状況が悪い土地は、大幅な値引きを強いられるリスクがあります。
2. 資産の二極化と空室リスク
同じ市内であっても、駅に近い平坦な土地と、駅から遠い丘陵地の住宅地では需要が大きく異なります。賃貸戸建てやアパートとして運用する場合、駅から遠いエリアでは空室期間が長期化し、家賃を下げざるを得ないリスクが高まります。
3. 建物の維持・修繕費用と解体コスト
地価が上がらないエリアであっても、建物の建築資材や人件費の高騰は全国一律で進んでいます。築年数が経過した木造戸建てを維持するための修繕費や、将来的に空き家となった建物を解体するための費用(編集部注:一般的な木造戸建ての解体費用は150万〜300万円程度)は、土地の価値に関係なく重くのしかかります。
4. 災害リスクの存在
西多摩地域は山間部や河川に近いため、土砂災害警戒区域(イエローゾーン・レッドゾーン)や浸水想定区域に指定されているエリアが比較的多く存在します。災害リスクが高い土地は、将来的な資産価値の維持が難しくなるだけでなく、火災保険料の上昇や、売却時の重要事項説明による買い控えを招くリスクがあります。
この話が当てはまる人・当てはまらない人
本動画で解説された多摩地域の地価動向や実務的な考察は、読者の目的や状況によって受け止め方が大きく異なります。
この話が極めて参考になる人(当てはまる人)
- 西多摩地域で実家の相続を予定している人:地価の上昇を待って「寝かせておく」ことの無意味さを理解し、早期に「使う・貸す・売る」の判断を下す契機になります。
- 広大な敷地で自然豊かな暮らしを求める実需の買い手:地価が急騰していないため、予算を抑えて広い土地や庭付きの戸建てを取得し、安定した固定資産税負担のもとで暮らす計画が立てられます。
この話があまり当てはまらない人(当てはまらない人)
- 不動産投資によるキャピタルゲイン(売却益)を狙う投資家:地価の上昇率が年0.4%〜1.8%程度のエリアでは、売却時の利益を期待することは困難です。都心の区分マンションや中央線主要駅至近の物件を狙うべきです。
- 職住近接と都心への利便性を最優先する単身者や共働き世帯:交通利便性が地価に直結しているため、上昇率が低くても利便性の低い西多摩エリアを選ぶメリットは薄いと言えます。
まとめ
令和8年地価公示において、多摩地域の住宅地はすべての自治体でプラスを記録したものの、中央線沿線の急上昇エリアと、西多摩を中心とする緩やかなエリアとで「18倍の格差」が生じています。地価が上がらないことは住環境の悪さを意味するものではなく、固定資産税の安定や取得のしやすさというメリットもあります。しかし、相続した土地を放置することは維持費や管理の手間を増大させるため、所有者は「使う・貸す・売る」の方針を早期に専門家へ相談し、意思決定することが求められます。
動画のタイムテーブル
- 0:00導入と結論の先出し。あきる野市と日の出町が+0.4%で上昇率最小
- 0:37今回のランキングの条件。令和8年地価公示、多摩地域の住宅地、対前年平均変動率
- 0:59上昇率が低い順に10位から4位までの解説。多摩市、清瀬市、東大和市、武蔵村山市、瑞穂町、福生市、羽村市
- 2:06西多摩エリアの3つの街の解説。青梅市、あきる野市、日の出町
- 3:11西多摩地域に上昇率下位が集中した理由と路線別の分析
- 4:02不動産業界の実務的な考察。地価が上がらないことの住環境としての価値
- 4:11買い手から見たメリットと売り手から見た厳しい現実
- 4:31地価上昇が緩やかなエリアで土地や実家を相続した際の対策
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