この方針は、OpenAIが米国で建設を進めるデータセンター群「Stargate」の立地地域に向けたものです。
Stargateは、AIの学習や提供に使う大規模な計算施設(データセンター)のプロジェクトです。OpenAIは2025年1月の発表時に、2029年までに米国内のAIインフラを10GWまで拡張する目標を掲げました。
画像:OpenAI(公式発表 ) 電力費は自社で負担、地域の料金を上げない
OpenAIの公式ブログによると、それから1年足らずで、計画容量は目標の半分を大きく超えました。テキサス州アビリーンの最初の拠点では、すでに最先端のAIの学習と提供が行われています。テキサス、ニューメキシコ、ウィスコンシン、ミシガンの各州でも、複数の拠点が構築されています。
今後、すべての拠点に、地域の意見や懸念をもとにした「Stargateコミュニティ」計画を導入します。OpenAIはその中で、エネルギーコストを自ら負担し、運営によって電気料金が上がらないよう努めるとしています。
地域ごとに電力網の状況は異なるため、対応も拠点に合わせて変わります。たとえば、プロジェクトが全額を負担する専用の電源や蓄電設備の導入があります。新たな発電・送電設備の追加と、その費用負担も含まれます。
具体的な方法は次の3つです。
自社の負荷で必要になる発電量の増加と、送電網の増強に資金を出す
地域の電力会社、送電事業者、州の規制当局などと、透明性の高い計画を立てる
電力需要のピークや電力網の逼迫が予想されるときは、消費を減らしたり抑えたりできるよう運用する
3つ目は、キャンパスを需要に合わせて動かせる負荷(フレキシブルな負荷)として扱う考え方です。電力会社などと連携し、需要を調整する仕組みに参加できるようにします。
ウィスコンシン、ミシガン、テキサスの例
OpenAIは、既存の拠点ですでに動き始めている例を3つ挙げています。
ウィスコンシン州では、パートナーのOracleとVantageが、電力会社のWEC Energy Groupと連携しています。太陽光発電やバッテリー蓄電を含む、新たな発電・供給能力の開発を進めています。開発パートナーは、WECの専用電力料金を通じて、電力インフラ投資の全額を負担します。この提案中の料金体系は、新規投資に伴う値上がりから他の顧客を守る設計です。
ミシガン州では、OracleとRelated Digitalが、電力会社のDTE Energyと協力しています。既存の電力資源を使いつつ、プロジェクトが全額を負担する新たなバッテリー蓄電で補います。DTEの既存顧客の電力供給や料金に影響が出ないようにするための構造です。電力網の維持・改善にかかる固定費の一部をプロジェクトが負担するため、顧客は間接的な恩恵も受けられるとしています。
テキサス州では、パートナーのSB Energyが、ミラム郡の拠点の電力の大部分をまかなうため、新たな発電・蓄電設備の資金提供と建設を計画しています。
OpenAIは、Microsoftが発表した、地域を第一に考えるAIの約束にも触れました。これはMicrosoftがOpenAIのために建設するキャンパスにも適用されます。
水の使用量と人材育成
OpenAIは、水を循環させる閉ループ型や、水使用の少ない冷却方式を優先するとしています。公式ブログによると、必要な水の量は地域全体の使用量のごく一部にとどまる見込みです。アビリーンのWeldon Hurt市長は、拠点の年間の水使用量が、市全体が1日で使う量の半分程度になると述べています。
この設計は、アビリーンとシャックルフォード郡、ドニャアナ郡、サリーン地区、ポートワシントン、マウントプレザントなど、すべての拠点で採用されています。ウィスコンシン州では、パートナーが最低1億7,500万ドルを地域インフラの改修や水環境の回復に投資する予定です。
人材面では、地域の人材育成の中核として「OpenAI Academy」を設けます。資格取得や、地域の雇用主のニーズに合った仕事への道筋を示す場です。今春、アビリーンに最初のアカデミーを開く予定です。労働組合や人材関連のパートナーとも連携し、建設・運営に必要な技能職や技術系の人材を支援します。