公式発表ウラケン不動産
親の認知症で実家が売却不能に、家族信託と任意後見で防ぐ不動産凍結対策
親が認知症を発症して判断能力を失った瞬間、所有する実家は「売却できない不動産」へと変わります。介護施設への入所資金を実家の売却益で賄おうと考えていても、法的な手続きが進められず、家族が資金難に陥るケースが多発しています。不動産実務の専門家である浦田健氏は、手遅れになる前に「家族信託」と「任意後見制度」を組み合わせた事前対策を講じることの重要性を指摘します。
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サイソク元動画: 親が認知症になると「実家が売れない」って知ってましたか?【688】
3秒でわかる要点
- 1認知症で判断能力を失うと、実の子であっても親名義の不動産を代わりに売却することは不可能になる
- 2成年後見制度による自宅売却は家庭裁判所の許可が必須であり、相続対策目的の売却は認められない
- 3家族信託と任意後見制度を併用することで、財産管理と身上監護の双方をスムーズに執り行える
この動画で語られていること
本動画では、不動産コンサルタントであり「ウラケン不動産」を主宰する浦田健氏が、親の認知症によって実家や預貯金が動かせなくなる「資産凍結」の実態と、その回避策について解説しています。
親が介護施設に入る際、その入居一時金や月々の費用を「親の実家を売却して工面すればよい」と考える家族は少なくありません。しかし、親が認知症と診断されて判断能力を失うと、法的に売買契約を結ぶことができなくなります。浦田氏は、実務で数多く目にしてきたトラブル事例をもとに、成年後見制度の限界を指摘したうえで、親が元気なうちに「家族信託」や「任意後見制度」を契約しておくべき理由を論じています。
解説された論点の詳細
1. 意思確認の壁と「不動産凍結」のメカニズム
不動産を売却する手続きにおいては、所有者本人の「意思確認」が法律上、必須とされています。売買契約書への署名や捺印はもちろん、決済時に司法書士が本人と面談し、「本当に売却する意思があるか」を確認します。親が認知症になり、判断能力がないと医師に診断されると、この意思表示が法的に認められなくなります。実の子であっても、親の代わりに売却手続きを進めることはできません。事前に用意した委任状であっても、本人の判断能力喪失後は無効となります。
2. 成年後見制度(法定後見)における家庭裁判所の処分制限
判断能力を失った後に不動産を動かす手段として「成年後見制度」があります。しかし、成年後見人が本人の自宅(居住用不動産)を処分する場合、家庭裁判所の許可が個別に必要となります。成年後見制度はあくまで「本人の保護」を最優先する制度です。そのため、「施設に入るための資金がどうしても足りない」といった合理的な理由がない限り、家裁は売却を許可しません。「将来の相続税対策のため」や「資産を有効活用するため」といった家族側の都合による売却は認められないのが実態です。さらに、申し立てから許可が下りるまでに数ヶ月を要するため、急な資金調達には間に合わないリスクがあります。
3. 先送りを生む3つの心理的ハードル
多くの家族が対策を先送りにしてしまう背景には、3つの心理的な要因が存在します。1つ目は「うちの親はまだ大丈夫」という根拠のない思い込みです。2つ目は、元気な親に対して「認知症になったらどうするか」という話を切り出すことへの気まずさや、縁起の悪さです。3つ目は、家族信託や成年後見、任意後見、遺言といった制度の違いが複雑で、何から手をつければよいか分からないという知識不足です。これらの要因が重なり、手遅れになるケースが後を絶ちません。
4. 家族信託による柔軟な財産管理と相続税対策
家族信託は、親が元気なうちに、実家などの不動産や預貯金の管理・処分権限を信頼できる家族(受託者となる子など)に託す契約です。この契約を結んでおけば、親が認知症になった後でも、受託者である子が自らの判断で実家を売却し、その代金を親の介護費用に充てることができます。家庭裁判所の許可や監督を受ける必要がないため、迅速な資産処分が可能です。さらに、信託契約の範囲内であれば、子が親に代わって金融機関から融資を受け、アパートを建築するといった相続税対策を継続することも可能になります。
5. 任意後見制度による身上監護の補完
任意後見制度は、親の判断能力があるうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、自らが選んだ代理人(任意後見人)に財産管理や身上監護の権限を与える契約を公正証書で結んでおく制度です。実際に判断能力が低下した段階で、家庭裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人が選任されることで効力が発生します。家族信託が「財産の管理・処分」に特化しているのに対し、任意後見制度は「介護施設との入所契約」や「医療行為の手続き」といった、本人の生活や療養に関する「身上監護」の契約行為を広くカバーできる点に強みがあります。
6. 家族信託と任意後見の併用(ハイブリッド対策)
浦田氏は、実家の凍結を防ぎつつ、老後の生活全般をサポートするための「最強の組み合わせ」として、家族信託と任意後見制度の併用を推奨しています。不動産や主要な預貯金といった「財産」の管理・運用・処分は、家庭裁判所の干渉を受けず柔軟に動かせる「家族信託」で行います。一方で、日々の生活費の支払い手配や、介護施設・病院との契約行為といった「身上監護」は「任意後見制度」でカバーします。この2つの制度を組み合わせることで、親の判断能力喪失後も、家族が主導してスムーズに生活を支える体制が整います。
動画で示された数字
動画内で提示された、認知症や資産凍結に関連する統計データおよび制度上の数値を以下に整理します。
| 項目 |
数値・条件 |
出典・補足 |
| 認知症の高齢者数(2025年推計) |
700万人超 |
厚生労働省推計。65歳以上の5人に1人が該当。 |
| 認知症の高齢者数(2012年時点) |
約462万人 |
厚生労働省推計。10年強で約1.5倍に増加。 |
| 認知症高齢者が保有する金融資産(2030年予測) |
215兆円 |
第一生命経済研究所試算。預貯金や株式が対象。 |
| 判断能力喪失後の委任状の効力 |
無効 |
日本国法律(民法上の原則) |
| 成年後見制度による実家売却の家裁許可期間 |
数ヶ月 |
動画内解説(個別の事案により異なる) |
| 不動産実務実例における関連書籍累計発行部数 |
34万部超 |
浦田健氏のプロフィール実績 |
認知症高齢者を取り巻く社会的背景と資産状況
日本の高齢化は急速に進んでおり、厚生労働省の推計によると、2025年には65歳以上の高齢者のうち5人に1人、約700万人超が認知症を発症するとされています。2012年時点の約462万人からわずか10年強で1.5倍に急増している計算であり、認知症はどの家族にとっても避けて通れない身近な問題となっています。
この人口動態に伴い、深刻化しているのが「認知症マネー」の凍結問題です。第一生命経済研究所の試算では、2030年には認知症の高齢者が保有する金融資産が215兆円に達すると予測されています。これは実家のような不動産だけでなく、銀行口座の預貯金や証券口座の株式なども含まれます。金融機関は本人の判断能力が低下したことを検知すると、不正引き出しや詐欺被害を防ぐために口座を凍結します。これにより、親の生活費や介護費用を、親自身の資産から引き出すことすら困難になるという、社会的な大問題が引き起こされています。
家族信託と成年後見制度の法的仕組み
実家の売却や管理において、対策を怠った場合と事前に対策を講じた場合では、適用される法的な枠組みが大きく異なります。以下に、一般論としての各制度の仕組みと、個別事情による違いを整理します。
親の判断能力が低下した後に利用する「法定後見(成年後見制度)」は、家庭裁判所が後見人を選定し、その監督下で財産を管理する仕組みです。本人の財産を守ることが目的であるため、投機的な運用はもちろん、親族のための支出や相続税対策としての資産処分は一切認められません。また、親族が後見人に選ばれるとは限らず、弁護士や司法書士などの専門家が選任された場合、毎月数万円の報酬を本人の財産から支払い続ける必要があります。
これに対し、親の判断能力が健在なうちに契約する「家族信託」は、委託者(親)、受託者(子)、受益者(親)の間で結ぶ民事信託契約です。財産の所有権は親に残したまま、管理・処分の権限だけを子に移転させることができます。家裁の関与がないため、信託契約書に「実家の売却権限を受託者に与える」と明記しておけば、子の判断だけで売却手続きを完了できます。ただし、これらの契約はすべて「親にしっかりとした判断能力があること」が前提となるため、認知症が進行した後に契約を結ぶことはできません。
見落としてはいけないリスク
実家の凍結対策を進めるにあたり、メリットだけでなく、以下のリスクや注意点を十分に理解しておく必要があります。
1. 介護費用の自己負担発生リスク
親が認知症になり実家が凍結されると、介護施設への入居一時金や月々の利用料を実家の売却益から支払う計画が破綻します。結果として、子が自らの生活費や貯蓄を切り崩して親の介護費用を立て替えざるを得なくなり、家族全体の経済的困窮を招くリスクがあります。
2. 相続税対策の頓挫と資産価値低下リスク
実家が空き家のまま放置されると、建物の老朽化が進み資産価値が急速に低下します。また、親の認知症後は新たな建築やリフォーム、土地の売却といった行為が一切できなくなるため、予定していた相続税対策(アパート建築による評価額引き下げなど)がすべて頓挫し、相続発生時に多額の税負担が生じるリスクがあります。
3. 金融機関の対応格差リスク(編集部補足)
家族信託を組成して相続対策の融資(信託融資)を受けようとする場合、すべての金融機関が対応しているわけではありません。浦田氏は「家族信託を使った融資はまだ制度的な歴史が浅く、金融機関によって対応がまちまちである」と指摘します。信託を組む前の段階で、融資を希望する金融機関が信託口口座の開設や信託融資に対応しているかを必ず確認する必要があります。
4. 税務上の設計ミスによる課税リスク(編集部補足)
家族信託の契約設計を誤ると、意図しない課税が発生するリスクがあります。例えば、委託者(親)と受益者(子)を別人に設定した場合、実質的な財産の移転とみなされ、信託組成時に高額な贈与税が課される可能性があります。税務リスクを回避するためには、税理士などの専門家を交えた事前の設計が不可欠です。
この話が当てはまる人・当てはまらない人
本動画で解説されている対策は、個々の家族の状況によって適用できるかどうかが明確に分かれます。
当てはまる人(今すぐ対策を検討すべき人)
- 親が単独名義で実家(一戸建てや区分マンション)を所有している人
- 将来、親が施設に入る際の費用を、実家を売却して捻出する予定の人
- 親の年齢が高齢(70代後半以上)であるが、現在はまだ意識がはっきりしており、意思疎通が可能な人
- 実家以外にも、親名義の預貯金や株式が一定以上あり、凍結されると生活に支障が出る人
当てはまらない人(別の対策や現状維持が必要な人)
- 親がすでに重度の認知症と診断され、意思疎通や自身の署名捺印が困難な人(この場合は家族信託や任意後見の新規契約はできず、法定後見制度を利用せざるを得ません)
- 実家の名義がすでに子名義に変更されている、または親子で共有名義になっており、子の権限だけで処分可能な人
- 親自身の現預金が十分にあり、実家を売却しなくても生涯の介護費用をすべて賄える人
まとめ
親が認知症になってからでは、実家を柔軟に売却するための「家族信託」も「任意後見」も契約することはできません。実家が法的に凍結され、介護資金の捻出に窮する事態を防ぐためには、親が元気な「今」のうちに行動を起こす必要があります。まずは実家の名義人と権利証の保管場所を確認し、将来実家を「売る・貸す・残す」のどの方向性にするか、家族会議を開いて意思統一を図ることから始めてください。具体的な契約書の作成や税務上の設計については、信頼できる司法書士や弁護士などの専門家へ相談することをお勧めします。
動画のタイムテーブル
- 0:00親が認知症になると実家が売却できなくなる「不動産凍結」の導入
- 2:05意思確認の壁と、成年後見制度における家庭裁判所の厳しい売却制限
- 4:14銀行口座の凍結リスクと、2030年に215兆円に達する認知症マネーの現状
- 4:37対策を先送りしてしまう3つの心理的ハードルと認知症患者数の推移
- 6:34親が元気なうちに管理権を託す「家族信託」の仕組みとメリット
- 7:21家族信託を活用した相続税対策と、マンション建築中の急逝トラブル事例
- 9:15将来の代理人をあらかじめ指定する「任意後見制度」の役割と強み
- 9:48家族信託と任意後見制度を組み合わせた「最強の併用対策」
- 10:51実家の名義や方針を確認する「実家凍結リスク3問チェック」
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