成田空港を利用する一般の渡航者や旅行者にとって、今回の発表によって今すぐ空港の利用方法や搭乗手続きが変わるわけではありません。本プロジェクトは、成田空港で進む大規模な再編工事や施設整備に合わせ、裏側の通信ネットワークや業務システムを支えるための取り組みです。NTT東日本千葉事業部が社内外の統一窓口となり、空港の運営会社や航空会社、物流事業者、周辺自治体と協力しながら最新技術の導入を進めていきます。
成田空港の再編と日本の航空インフラを支える4つの検討テーマ
成田空港は、貿易の輸出額と輸入額を合わせた金額で全国1位を誇る日本最大級の貿易港です。東京税関が公表した令和6年(2024年)分の成田空港貿易概況(速報)によると、成田空港の輸出入総額は日本全体の約17%を占めています。今後の国際航空需要の増加に対応するため、空港側では「成田空港第2の開港」と呼ばれる大規模な機能強化計画を進めています。
この「成田空港第2の開港」とは、B滑走路の延伸やC滑走路の新設といった機能強化に加え、既存の旅客ターミナルを整理して集約型のワンターミナルに再構築する計画や、新貨物地区を整備して航空物流機能を集中させる「『新しい成田空港』構想」を合わせた総称です。巨大な再編を着実に進めるには、将来にわたって安定して使える通信インフラに加えて、現場業務の省人化やデータ活用、サイバーセキュリティ対策、施設管理の高度化が不可欠です。
こうした課題に対応するため、NTT東日本千葉事業部は「『成田空港第2の開港』推進プロジェクト」を組織し、これまで個別の部署が進めていた通信基盤の構築やICT(情報通信技術)サービスの提供を一体的に管理・推進する体制を整えました。本プロジェクトで検討されている具体的な取り組みは以下の4つの分野です。
1つ目は、ネットワーク基盤の検討と構築支援です。新旅客ターミナルや新貨物地区、既存の施設再編に合わせて、信頼性とセキュリティを備えた通信・ICT基盤のあり方を検討します。さらに、再編に伴って新しく拠点を設ける企業に対し、光回線サービスなどの通信インフラの構築を支援します。
2つ目は、次世代情報通信基盤「IOWN(アイオン)」および自動運転技術の活用検討です。IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、光技術を中心にして大容量・低遅延・低消費電力を目指すNTTの技術構想です。この通信基盤や自動運転技術の活用可能性について、空港の内外の関係者と連携して具体的なユースケースの検討を進めます。
3つ目は、AI、IoT(あらゆるモノをネットにつなぐ技術)、ローカル5G(特定の敷地内で利用できる専用の5Gネットワーク)、ドローンなどの新技術の活用です。これらを用いて、旅客や貨物の輸送、空港敷地内の警備、設備の点検、施設管理といった業務を高度化・省人化するための実証実験や実用化を検討します。
4つ目は、空港と周辺地域の一体的な発展に向けた地域連携です。空港周辺の自治体や地域企業と協力し、地域DX(デジタルトランスフォーメーション)や産業振興、人材育成、観光、防災、地域交通など、空港の発展効果を周辺地域へ波及させる施策を検討します。
まだ分からないこと
- 各先進技術の実証実験や具体的な実装のスケジュールはまだ発表されていません。
- 自動運転やドローンを活用する具体的な対象エリアや運用ルールは公表されていません。
- 周辺自治体や地域企業との連携事業における具体的な予算規模や提供サービスの内容は未定です。